炎上、ボイコット、株価急落――それでもイーロン・マスクはなぜ政治に関与するのか

**サイバー攻撃とウクライナとの関連**
2025年3月10日、イーロン・マスク氏が経営するSNS「X」がサイバー攻撃を受け、一時アクセスが困難な状態が続きました。マスク氏は「ウクライナ地域を発信元とするIPアドレス」が関与していると主張し、ウクライナ支持者による攻撃の可能性を示唆しています。この背景には、マスク氏がトランプ政権のウクライナ支援停止に同調していることが関係していると見られます。また、ウクライナでは対ロシア戦でマスク氏のスペースXが提供する衛星通信システム「スターリンク」が使用されていますが、マスク氏がその停止を示唆したことがウクライナ支持者の反発を招いた可能性があります。

**ビジネスへの影響と抗議活動**
マスク氏が受けた影響は、サイバー攻撃にとどまりません。テスラの販売店では抗議活動や破壊行為が相次いでおり、オレゴン州では販売店のガラスが割られ、マサチューセッツ州では充電ステーションが放火されました。コロラド州では販売店の看板に「ナチス」と落書きされる事件も発生し、別の販売店では駐車場に火炎瓶が投げ込まれる事態も起きています。このような反発は、マスク氏がトランプ政権下の「政府効率化省(通称DOGE)」を率いていることが原因と考えられます。

DOGEは政府支出を2兆ドル削減するために設立され、USAID(国際開発庁)や教育省などの閉鎖を目指しており、すでに6万2000人以上の連邦職員が解雇されています。こうした方針への反発が、マスク氏やその事業に向けられているのです。実際、ワシントンではテスラが駐車違反の取り締まりで狙い撃ちにされている可能性も指摘されています。

**政治への関与と長期的な利益**
マスク氏がこれほどのリスクを冒してまで政治に関与する理由は、「権力の獲得」にあると考えられます。政府を再構築し、無駄を排除することで、短期的なビジネスへの悪影響を上回る長期的な利益を得られると見ているのです。特に宇宙開発や自動運転分野において、政府の規制緩和によって巨額の利益を得ることを期待しています。

しかし、政府との関係が深まることで、テスラやスペースXが政府との契約を失うリスクもあります。利益相反が問題視される可能性があるためです。それでもマスク氏は、トランプ大統領を支持し続けることで、ビジネス面での将来的な利益を得ようとしているのです。

**政治的発言が企業に及ぼす影響**
企業リーダーの政治的発言がビジネスに悪影響を与えるケースは過去にも見られます。
– 2024年には亀田製菓会長が「日本はさらなる移民を受け入れるべき」と発言し、SNSで炎上して不買運動が発生。株価が下落しました。
– 2019年にはNBAのヒューストン・ロケッツのダリル・モレイGMが香港の民主化デモを支持する発言をしたことで、中国での不買運動が起きました。
– 2020年にはGoya FoodsのCEOがトランプ氏を称賛したことで、不買運動が広がりました。

このように、企業リーダーの政治的・社会的発言が反発を招くケースは珍しくありません。

**トランプ氏との関係と今後の展望**
マスク氏に対する「キャンセルカルチャー」(不買運動など)は、現時点では大きな影響を与えていないようです。テスラの株価は下落し、マスク氏の資産も約1020億ドル(約15兆円)減少していますが、彼には十分な資産があり、現時点での損失に耐えられる状況です。

重要なのは、トランプ大統領がマスク氏への信頼を失っていないことです。トランプ氏はSNSで「イーロン・マスクは国を救うために素晴らしい仕事をしている」と支持を表明し、実際にホワイトハウス前で新車のテスラを購入しました。トランプ氏の信頼を背景に、マスク氏は短期的な損失を受け入れながらも、長期的な利益に向けて突き進んでいると考えられます。

情報源:
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2503/14/news055.html

ラグジュアリーとは何か?

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