
厚生労働省の「令和5年 国民健康・栄養調査」によると、日本の20歳以上の1日の平均歩数は、男性が6,628歩、女性が5,659歩となっており、過去10年間で減少傾向にあります。この状況を踏まえ、整形外科医・末梢神経外科医の萩原祐介先生は「人生100年時代において、健康寿命を延ばすためには、自分の足で歩き続けることが最も大切」と指摘しています。本稿では、萩原先生の著書『いつまでも自分で歩ける100歳足のつくり方』より、歩行を維持するためのポイントを紹介します。
理想的な歩数と健康との関係
1日に8,000歩以上歩く人は、死亡率が低いことが国内外の研究で明らかになっています。毎日でなくとも、週に1~2日でもこの歩数を達成することが効果的です。ただし、高齢者や膝・足に痛みを抱える人は、1万2,000歩を超えると負担がかかる可能性があるため、まずは1日8,000歩を目標にするのがよいでしょう。
年代別の平均歩数と目標
– 20~59歳:平均約7,000歩。健康維持のために8,000歩を目指す。
– 60代:平均約6,300歩。50代と比較すると約10%減少しており、歩行時間を1割増やすと運動量を維持できる。
– 70代:平均約4,600歩(65~74歳のデータでは5,700歩)。この年代から身体機能の衰えが顕著になり、歯の本数の減少なども見られる。足首テーピングを活用することで、歩行のサポートが可能。
– 80代:女性の半数以上が骨粗鬆症を発症し、男性も骨が弱くなりやすい。歩行困難や寝たきりになるリスクが高まる。歩行を維持するために、足首テーピングや靭帯再建術を検討することがある。手術は80代半ばまでが一般的。
– 90代以上:転倒やケガを防ぐことが最優先。短期間の入院でも体力低下が著しく、回復が難しくなる。食事時のむせ込みにも注意が必要。
100歳を迎えたら
100歳まで元気に歩けた人は、これまでの生活習慣が健康維持に大きく寄与していたといえます。その経験を周囲の人々に伝え、健康長寿の秘訣を共有しましょう。
