米ロサンゼルスのスーパーに見た「むき出しの貧富の差」 超高級~低所得5店でオレンジ価格を比較すると

アメリカでは、消費者の所得層によって利用するスーパーマーケットが明確に分かれており、貧富の差がそのまま買い物のスタイルに表れています。消費経済アナリストの渡辺広明氏がロサンゼルスのスーパーを視察し、その実態をレポートしました。

■ スーパーごとの価格差と客層
アメリカのスーパーは、日本以上にターゲット層が明確に分かれており、オレンジ1個の価格を比較すると最安値のウォルマート(0.88ドル=約130円)と最高値のエラワン(2.99ドル=約450円)では3.4倍もの差がありました。

1.ウォルマート(低所得層向け):価格が圧倒的に安い。高インフレの影響で富裕層も利用するようになりつつあるが、メインターゲットは低所得者。車を持たない貧困層には政府の福祉制度「EBT」が提供され、指定店舗で買い物が可能。

2.フード4レス(低所得層向け):治安が不安定な地域にあり、警備員が配置されている。価格はウォルマートと同等かやや高め。惣菜売り場はなく、自炊を前提とした品揃え。

3.ラルフルズ(アッパーミドル層向け):同じクローガー系列のフード4レスよりも高価格帯で、デリカテッセンが充実している。店内では犬と一緒に買い物をする客も見られた。

4.ホールフーズ(富裕層向け):Amazon傘下のオーガニックスーパー。高品質なオリジナルブランド「365 Everyday Value」が人気。Amazonプライム会員向けの割引や手のひら認証決済など、新技術が積極的に導入されている。

5.エラワン(超富裕層向け):ロサンゼルスの富裕層マダム御用達のスーパー。価格は圧倒的に高く、見栄え重視の商品が多い。エコバッグは45ドル(約6750円)と、日本では考えられない高価格だった。

■ 日本の未来もこうなる?
視察の結果、富裕層向けのスーパーは活気があり、低所得層向けの店舗では生活必需品に絞った買い物がされていました。日本では中間層の厚みが経済を支えてきましたが、格差が拡大しつつある今後、アメリカのように所得層ごとに買い物スタイルが大きく異なる時代が来る可能性があります。

また、ロサンゼルスでは無人自動タクシー「Waymo One」や小型無人宅配カーが普及しており、小売業とテクノロジーの融合が進んでいました。日本は商品開発力では世界トップレベルですが、規制の影響でこうした技術導入が遅れているため、政府や企業の積極的な対応が求められます。

視察中、トランプ大統領の就任式に伴い、ロサンゼルスでは反トランプ派や移民問題を訴えるデモが発生。スーパーで見られた貧富の差とは異なる「社会的な分断」もまた、アメリカの現実として浮かび上がっていました。

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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