
歯周病予防の重要性と対策
1. 歯周病のリスクと健康への影響
歯周病は歯の周囲の骨や組織が細菌によって破壊される病気で、日本の成人の約8割が罹患しているとされる。歯を失う原因の第1位であり、放置すると歯を支える骨が破壊される。特に働き盛りの世代は口腔ケアが不十分になりがちで、気づかぬうちに進行してしまうことが多い。
歯周病は単に歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす。具体的には、以下のリスクがある:
– 心血管疾患:歯周病菌が血管を通じて全身に広がり、血管の炎症を引き起こす。心臓や脳の血管が詰まる危険性もある。
– 糖尿病との相互作用:糖尿病患者は免疫力が低く歯周病が進行しやすい。また、歯周病の炎症が血糖値の不安定化を招く悪循環がある。
– 認知症:歯周病がアルツハイマー型認知症の進行を助長する可能性が指摘されている。
– 妊娠への影響:妊婦が歯周病にかかると、低体重児や早産のリスクが7倍に増加する。
2. 歯周病を招く生活習慣
– 間食の多い人・喫煙者:炭水化物や糖分を多く摂取すると、歯周病菌が繁殖しやすい。また、喫煙は歯茎の血流を悪化させ、症状に気づきにくくなる。
– 歯ブラシだけのケア:歯ブラシだけでは歯垢の60%しか除去できず、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しないと40%の汚れが残る。
– 歯科検診を受けない人:歯石は歯磨きでは除去できず、定期的な歯科検診が不可欠。1年以上歯科検診を受けていない人は、ほぼ歯周病になっている可能性が高い。
3. 効果的な歯周病予防策
– 歯科医院でのメンテナンス:1回でも受診し、現状を把握することが重要。
– フッ素入り歯磨き粉の使用:フッ素は歯の表面を強化し、酸によるダメージを防ぐ。
– フロスの活用:夜1回の使用でも十分効果がある。歯磨き前に使うと、歯磨き粉の成分が歯に届きやすくなる。
– ジェットウォッシャーの利用:歯と歯茎の境目の汚れを水圧で洗い流し、より効果的な口腔ケアが可能。
4. まとめ
歯周病は自覚症状が少なく、気づかぬうちに進行していることが多い。日本人の8割が罹患しているという統計からも、「自分は歯周病かもしれない」という前提で予防に取り組むべきである。毎日の適切な口腔ケアと定期的な歯科検診を習慣化し、全身の健康を守ることが重要だ。
出典:President Online