中国人が「日本の別荘」として超高級タワマンを購入…都心マンションの「空き家」が増えている裏事情

1. 都心マンション価格の高騰と外国人投資家の増加
近年、都心のマンション価格が高騰し、日本人には手が届きにくい価格になっている。一方で、 訪日時の活動拠点としてタワーマンションを購入する外国人が増加 しており、多くの物件が 実質的に空き住戸化 している。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、この現象について 「外国人投資家による別荘購入が主な要因」 であると指摘する。

2. 日本のマンションは「庶民価格」?
世界的なインフレの影響で、上海や北京では 一般庶民向けのマンションでも3億~4億円が相場 になっている。そのため、日本のタワーマンションは 外国人にとっては「安価」 に映り、 現金で購入するケースが急増 している。円安の影響もあり、日本の物価が相対的に安価に見えることが、この現象を加速させている。

3. 訪日リピーターが「宿代わり」にマンションを購入
東アジア圏(中国・韓国・台湾・香港)からの訪日客の多くは リピーター であり、日本への旅行を国内旅行感覚で楽しんでいる。そのため、 ホテルを予約する代わりにマンションを購入 し、活動拠点として利用するケースが増えている。

4. 外国人所有のマンションが空き住戸化する理由
しかし、外国人投資家も日本の別荘と同様に 最初は頻繁に利用するものの、次第に飽きて放置する 傾向がある。例えば、 2億円で購入された港区高輪のタワーマンション(100㎡・2LDK) では、所有者が2年間まったく利用せず、 賃貸募集をしても月額100万円という高額な希望家賃が原因で借り手がつかない という状況になっている。

5. マンション全体の環境悪化の懸念
こうした空き住戸は、 管理規約を無視して民泊に転用されたり、日本在住の外国人に短期貸しされたり することで、マンション全体の 治安や住環境に悪影響 を及ぼすケースがある。さらに、 管理費や修繕積立金の未払い問題 も深刻化しており、外国人所有者が関心を失うと支払いを滞納するリスクが高まる。

6. 相続によるマンション空き家問題
外国人投資家だけでなく、日本国内でも 相続によるマンションの空き住戸化 が問題になっている。すでに 自宅を持っている相続人が、親のマンションを引き継いでも利用せず放置するケース が増えている。特に、築40~50年の 郊外のマンションは売却も賃貸も難しく、管理費・修繕積立金の負担が相続人に重くのしかかる ため、手放したがる相続人が増えている。

7. 管理組合を悩ませる「消えた相続人」
マンション管理組合に相続の届け出をしない相続人も多く、 管理費や修繕積立金の未払いが続く ことが問題視されている。相続人の所在が不明なまま滞納が積み重なり、 管理組合が請求できないまま管理財源が圧迫される ケースも増えている。

8. 「マンション空き家問題」への対策
こうした状況を受け、 2024年4月1日から相続登記の義務化 が施行される。これにより、相続による所有権取得を知った日から3年以内に登記することが義務づけられ、 相続人の所在把握が容易に なる。しかし、管理費や修繕積立金の支払い義務が続くため、 売却が難しいマンションは今後も空き住戸化する可能性が高い。

9. 結論:今後の展望
都心のマンション価格高騰により、 日本人が購入できない価格帯になり、外国人投資家の買い占めが進んでいる。しかし、 「宿代わり」として購入された物件の空き住戸化、管理費未納、転売困難 という問題が顕在化しつつある。さらに、 日本国内でも相続による空き家問題が拡大 しており、マンションの所有・管理のあり方が今後の課題となる。

ラグジュアリーとは何か?

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