フリマアプリ「メルカリ」がオークション機能を開始する。この機能により、価格交渉の負担を軽減し、メルカリ上でのスムーズな取引を促進することを目指す。
新たに開始する「オークション機能」は、出品者が商品を一定期間オークションにかけ、最高入札額を提示した購入者に商品を販売できる仕組みだ。これまでのフリマ形式では出品者が価格を設定していたが、オークションでは購入希望者が入札によって価格を競り合い、取引が成立する。
出品者は販売開始価格を設定し、購入希望者はオークション期間中に希望価格で入札する。オークション期間は、最初に入札された日の翌日20時台までとなり、終了時に最高価格で入札している人が落札者となる。
出品者は「オークション機能」と従来の価格設定方式を選択できるようになり、販売手法の選択肢が広がる。オークション形式を用いた商品の最高販売価格は999万9,999円となる。
なお、オークション形式で商品を出品するには、事前に本人確認を完了する必要がある。また、チケットカテゴリーの商品はオークション形式では販売できない。
フリマアプリ「メルカリ」がオークションを導入する理由
2014年にスタートした「メルカリ」は、フリマアプリとしてユーザーが価格を決めて出品し、手軽に販売・購入できることが支持され、2,000万人以上が利用するプラットフォームへと成長した。
フリマアプリが登場する以前は、「Yahoo!オークション」などのオークション形式が広く利用されていた。しかし、メルカリなどのフリマアプリの登場以降、個人間取引(CtoC)の市場では、オークション形式よりもフリマアプリの利用者が増加し、規模を拡大してきた。
そんな中、フリマアプリの代表格であるメルカリが、今回オークション機能を導入することになった。なお、LINEヤフーはフリマアプリとして「Yahoo!フリマ」を展開している(2019年のサービス開始時は「PayPayフリマ」)。
メルカリでは、利用者の約6割が出品時の「価格設定」に悩むという課題があった。その対応策として、2024年5月に「価格なし出品」機能を開始。しかし、この機能ではマッチングに時間がかかるケースが多く、「いつ売れるかわからない」「提案される価格が納得できない」といった利用者の声が上がっていた。また、「価格なし出品」では価格交渉の負担を感じる人も多く、「コメント欄での価格交渉とあまり変わらない」「できるだけ価格交渉をしたくない」といった意見も寄せられていた。
一方、メルカリのアンケート調査では、約7割の利用者が「メルカリのオークションを利用してみたい」と回答。また、「希少性のある商品や人気商品の販売に活用したい」というニーズも判明した。
出品に関しては「売りたいものを素早く手放したい」「人気商品の場合、通常のフリマ出品より高値で売りたい」という声が多く、購入に関しては「価格交渉なしで納得のいく価格で商品を購入したい」との意見が寄せられていた。
こうした背景から、価格交渉の負担を軽減し、場合によってはより高値での販売が期待できる「オークション機能」の提供が決定された。