多くの人々に利用されているウーバーイーツ。その便利さの一方で、最近は「配達が遅れる」という声が増えています。現場の配達員は、この状況をどう見ているのでしょうか?勤続4年9ヶ月、満足度100%の評価を誇る現役配達員、佐藤大輝氏がその実情を語ります。
ウーバーの配車システムが「ヤバい」理由
「ウーバーの配車システムが壊れつつある」と佐藤氏は指摘します。彼は4年9ヶ月にわたりウーバー配達員として働いてきましたが、最近は繁忙期における「需要と供給のミスマッチ」が顕著になっているといいます。
配達員が注文を処理しきれないため、遅延が発生し、ユーザーにしわ寄せが及んでいます。実業家の堀江貴文氏もX(旧Twitter)で「最近、Uber Eatsの配達が遅い」と発言し、多くの共感を集めました。
配達員の「ウーバー離れ」が加速
では、なぜ供給力が弱まっているのでしょうか?その背景には、「配達員のウーバー離れ」があると佐藤氏は分析します。
以前は飲食店の前で待機する「地蔵」と呼ばれる配達員の姿が見られましたが、今ではその光景はほとんど見られません。四角いバッグを背負った配達員を見かけることさえ難しくなっています。
その理由は、ウーバー配達員の仕事が「稼げる仕事」から「稼げない仕事」に変わったことです。
低時給化が招いた配達員の減少
新型コロナウイルスの流行中、佐藤氏の収入は時給換算で1500〜2000円でした。しかし、アフターコロナでは700円前後にまで低下し、時には時給0円になることもあるといいます。
ウーバー配達員の報酬は時給制ではなく、配送件数に応じて決まります。最低時給を下回る報酬体系では、仕事の魅力が失われてしまいます。
さらに、ウーバーは「1店舗1顧客」の配送頻度を減らし、「1店舗2顧客」や「2店舗2顧客」といった複数同時配送を増やしました。これにより、配達員の報酬は1件あたり300〜500円から、2件同時配送で400〜700円に「割安化」されました。
この報酬体系の変更は、配達員にとっては実質的な報酬の引き下げと感じられ、多くの配達員が離れていく原因となりました。
佐藤氏は、ウーバーイーツの現状を変えるためには、現場の声を反映した報酬体系の見直しが不可欠だと強調します。配達員の労働環境を改善し、ユーザーにとって信頼できるサービスを提供することが、今後の課題です。