中国のスタートアップ企業が開発した大規模言語モデル「DeepSeek」が、米国のテック業界で大きな話題となっています。
1月20日に登場した「DeepSeek-R1」は、OpenAIの「o1」に匹敵する性能を持ちながら、独自の工夫により低コストで実現したとされ、高い評価を得ています。
米国では、ソフトバンクグループがOpenAIと提携し、今後4年間で5000億ドル(約78兆円)を投資する計画を発表したばかりです。しかし、「格安AI」への関心が高まることで、AI関連企業に大きな影響を与える可能性があります。
エキスパートの補足・見解
DeepSeekのアプリは日本でも提供されており、アカウント登録を行えば無料で利用できます。米国のアプリストアではランキング1位に輝くなど、急速に注目を集めています。
開発コストについては諸説あり、中国向けの輸出規制に対応した性能限定版のチップを使用し、主要なAIモデルの数十分の一ともいえる560万ドル(約8.7億円)で実現したとの報道があります。一方で、高性能チップを使用しているものの、輸出規制に抵触するため公表できないという指摘もあります。
また、APIの利用料金はOpenAIと比べて大幅に安価に設定されており、オープンソースで提供されているため、工夫次第では個人でも運用可能なモデルもあります。
ただし、出力には中国の規制がかかっているとの指摘もあります。安全保障などの観点から、米国製AIの必要性が高まる場面も考えられますが、用途に応じた使い分けや、従来コスト面で導入が難しかったケースでの活用が期待されます。
低コストなAIの登場によって、巨額のAI投資に対する疑問が生じる可能性がありますが、最終的にそのコストを負担するのは消費者です。今後の「コストパフォーマンス競争」の行方に注目が集まります。