天空から愉しむ「寂」の美

2023年6月5日、熊本県上天草市にオープンした全11室のラグジュアリーホテル「天ノ寂」。刻一刻と移ろう海と空の景観と波の音を遮るもののない天空から愉しむ、寂の美意識がテーマだ。客室に備えられた、かけ流しの松島温泉や海の幸とともに、天草の自然と一体となる、ゆるやかで贅沢な時間を堪能したい。

Text Rie Nakajima

2023年6月5日、熊本県上天草市にオープンした全11室のラグジュアリーホテル「天ノ寂」。刻一刻と移ろう海と空の景観と波の音を遮るもののない天空から愉しむ、寂の美意識がテーマだ。客室に備えられた、かけ流しの松島温泉や海の幸とともに、天草の自然と一体となる、ゆるやかで贅沢な時間を堪能したい。

天ノ寂(熊本)
スイートルームのテラスから天草の海と島々の景観を眺める。時間と共に移り変わる景色こそが最高の贅沢。

上天草市松島町に誕生した「天ノ寂」。その名の通り、人と同じではつまらない、あまのじゃくな人にもおすすめしたい名宿だ。天草で長く愛される老舗「ホテル竜宮」、「天空の船」に続く三つ目の宿であり、全11室のスイートルームを用意。洗練された空間で美しい景観と地元食材をふんだんに使った料理でもてなす、天草きってのラグジュアリーホテルである。

何より贅沢なのは、天草の海を独占するような景色。大小120余の島々からなる天草諸島ならではの青い海と島々の景観に、ロビーにいても客室にいても、常に視線を吸いよせられる。時とともに移り変わる空の色と、時を刻むように寄せる波の音。そんな時間の経過によって現れる根源的な美しさこそが “寂” であるというコンセプトが、同ホテルのもてなしの柱だ。そして、遮るもののない、天空の静寂からこの趣を愉しめるから、「天ノ寂」。ゆったりと、時間を忘れて景観を満喫したい大人に向けた宿である。

客室はテラスを含め104㎡から174㎡とゆとりのある広さを持つクアッドスイート、ジュニアスイート、スイートの3タイプのスイートを用意。全室から天草の海を一望でき、松島温泉かけ流しの湯が備えられている。特に最上階のスイートでは、「オーシャンビュー」という言葉の枠に収まらない、海や空との一体感が愉しめる59㎡の広々としたテラスに加え、内湯と露天風呂、そしてサウナや水風呂を完備。内装や家具、アメニティーまで徹底的にこだわった格調の高さは、場所によってはとても同じ価格帯では宿泊できないと思わせるほど。隅々まで美意識が行き届いた、大切な人を招待するにもふさわしい空間だ。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。