密林に潜む失われた宮殿

ボツワナとの国境近く、12億年前の火山のクレーターに広がる野生の王国が南アフリカのピーランスバーグ国立公園だ。その一画、密林の中に忽然と現れる不思議な宮殿は、1100余の客室を擁する三つのホテルと二つのチャンピオンシップ・ゴルフコースを持つ一方、地域の伝統文化も伝える総合リゾート、サンシティのシンボルである。

Photo Chiyoshi Sugawara Text Chiyoshi Sugawara

ボツワナとの国境近く、12億年前の火山のクレーターに広がる野生の王国が南アフリカのピーランスバーグ国立公園だ。その一画、密林の中に忽然と現れる不思議な宮殿は、1100余の客室を擁する三つのホテルと二つのチャンピオンシップ・ゴルフコースを持つ一方、地域の伝統文化も伝える総合リゾート、サンシティのシンボルである。

  • サンシティの朝食用ダイニングルーム
    サンシティの朝食用ダイニングルーム。施設内にはタイプの異なる23のレストランと10のバーがある。
  • エレファントアトリウムの巨大な彫刻
    エレファントアトリウムの巨大な彫刻は「シャーウ」と呼ばれ実在した象。中庭は会議室に囲まれている。
  • 周囲を山と緑が囲む不思議な景観を成す「波の谷」
    砂浜に打ち寄せる巨大な波はサーフィンも可能だという「波の谷」は、周囲を山と緑が囲む不思議な景観を成す。
  • 「パレスオブザロストシティ」の広いレセプションホール
    優美だがアフリカの自然を象徴する装飾で統一された、「パレスオブザロストシティ」の広いレセプションホール。

宿泊施設のバリエーションと規模は圧倒的だが、アクティビティーも驚くべき規模で、筆頭がゴルフ場。南アフリカ出身のゴルファー、ゲーリー・プレイヤーのデザインによる「ロストシティ・ゴルフコース」と「ゲーリー・プレイヤー・ゴルフコース&カントリークラブ」はともに18ホールのチャンピオンシップコース。世界クラスの施設を備え、毎年11月にはネドバンク・ゴルフチャレンジが行われている。ロストシティ・ゴルフコースの13番ホールの池にはクロコダイルがすんでいる。

ゲーリー・プレイヤー・ゴルフコースが面する湖は多彩なウォータースポーツのゲレンデ。長さ2km、高度差180mをロープに沿って一気に下るジップラインなどスリリングなアトラクションが楽しめ、広大な「クウェナガーデンズ」にはアーチェリーやクレー射撃のエリアがある。7000匹を超すクロコダイルのいるサンクチュアリもあり、赤ちゃんクロコダイルと接することもできるほか、大きな象に餌を与えられるなど、子どもたちにとって驚きの体験となる。

アドベンチャーセンターでのドラムミング体験や、バレンバ、バペーティ、ズールー、バツワナ、ンデベレ、コサ、シャンガーンといった部族の特徴的な家が並ぶカルチュラルビレッジでの民族舞踊の見学などアフリカ文化の一端を体験できるなど楽しみ方は実に多彩である。

早朝、あるいは太陽が西に傾き始める頃、4輪駆動車によるピーランスバーグ国立公園でのサファリドライブはアフリカならではの人気アクティビティーで、象の群れ、木の葉をはんでいるキリンなどなど、動物たちを自然のまま観察できる。急速に冷え込む日没後、レンジャーが照らすサーチライトにシロサイなどの姿が浮かび上がる。さらにエキサイティングなのが熱気球によるサファリ。朝靄をついてゆっくり昇り、地上200mからクレーターや動物たちを観察する。ランディング後にはシャンパンやジュースでのどを潤す楽しみが待っている。

首都圏からのアクセスもよくセキュリティーも万全、アクティビティーやエンターテインメントが充実したサンシティはアフリカの魅力を凝縮したリゾートと言えるだろう。

ニつのチャンピオンシップ・ゴルフコースを持つサンシティ
2つのチャンピオンシップ・ゴルフコースを持つサンシティ。右にクラブハウス、後方に「パレスオブザロストシティ」が見える。
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。