蓋(ふた)を開けると、キンと小気味の良い音が鳴る。エス・テー・デュポンといえば、日本では主に高級ライターを展開するラグジュアリーブランドとして、その特徴的な音と共に知られている。しかし、その真骨頂はライターだけではない。
ブランドの創業は1872年。創業者のシモン・ティソ・デュポン氏が、25歳の若さでパリにオープンした革製品店が、エス・テー・デュポンの始まりである。彼がもともとナポレオン3世の写真家をしていたという経歴はあるものの、最初の顧客が当時のフランス皇后だったというから驚きだ。洗練されたデザインと卓越した機能性は、すぐに時の権力者や多くのセレブリティの間で評判になり、イギリスのエリザベス女王、インド・パティアラのマハラジャなど、世界各国の王室とも縁が深まっていく。
「リヴィエラ」は1953年、オードリー・ヘプバーンのために製作されたブランド初のレディースハンドバッグである。秘密のコンパートメントを多く備えたこのバッグは、「細々としたものを整理して収納できるバッグがほしい」という彼女の要望を反映させて作られたもの。メイクアップ用品やジュエリー、台本、契約書……ハリウッド女優の秘密を守ったこの「リヴィエラ」は、現代用にアップデートされる形で、日本国内では今年2月に新作として再登場している。裏地にシークレットポーチを隠すアイデアはオリジナルから引き継いだまま、それをアイコニックなライターの形を模した南京錠で固定。より洗練されたデザインに仕上げられた。
また1973年には、ケネディ大統領の妻・ジャクリーンから「特注ライターに合わせたペンがほしい」との依頼が。これをきっかけに、ブランド最初のペン「クラシック」が誕生した。こちらも今年5月に、ジャクリーンが気に入っていたライターのトリガー部分のデザインを踏襲したリバイバル商品が発売。当時の装飾を忠実に再現し、時代を超えたエレガンスを宿している。
またエス・テー・デュポンは、特別な顧客向けの「オートクレアシオン」というコレクションも展開。匠の技が光るプレミアムなアイテムは芸術作品のような存在感を放ち、その精巧な装飾は単なるデザインにとどまらず、ブランドの世界観を表現する力を持っている。通常店舗には並ばないコレクションだが、8月には特別受注会を開催予定。この迫力を目の当たりにしたい方は、ぜひ足を運んでほしい。
顧客の要望に応え、伝統を受け継ぎながらも型にはまらないアイテムを生み出し続けるエス・テー・デュポンは、自らの道を果敢に切り開く時代のアイコンたちに支えられている。そこには、時代を超えた、ものづくりへの情熱の炎が絶えず揺らめいているのだ。
ラグジュアリーコレクション特別受注会ご招待
Crépuscule d’été avec S.T. Dupont ~S.T. Dupontと過ごす夏の黄昏~
エス・テー・デュポンが、匠の技が息づく特別なコレクション「オートクレアシオン」を紹介するイベントを開催。フランス・オートサヴォア地方で熟練の職人が手作業で仕上げる、ラグジュアリーな逸品がお披露目される。通常店頭には並ばないエクスクルーシブなアイテムを目にすることができる貴重な機会となっている。ハイアット セントリック 銀座 東京のスイートルームで、シャンパンやプチフールを楽しみながら、エス・テー・デュポンの世界を体感してほしい。
日 時●8月22日(金)11:00~20:00(最終入場19:00)/8月23日(土)11:00~20:00(最終入場19:00)
※予約制のため、応募フォームにご希望の来場日時をご記入ください。
会 場●ハイアット セントリック 銀座 東京 スイートルーム 東京都中央区銀座6-6-7
募集人数●6組12名様