
もちろん、最大の魅力は走りだろう。2気筒のムルティストラーダV2に対して水冷4気筒エンジンを搭載し、1158ccの排気量から125kWの最高出力と124Nmの最大トルクを発生する性能ぶりが、何よりの特長だ。モーターサイクルの良さの一つは、からだが剥き出しで高速やワイディングロードを駆け抜けて行くときの、唯一無二のスリル、だと思っている。今回のツーリングは、東京から100㎞ほどの熱海。そこまで距離は長くはないけれど、それでも、降りたときの高揚感はほかでは得がたいものだ。
モーターサイクルの文化が定着している欧米では、ムルティストラーダに大きなパニアケース(モノ入れ)を取り付けて、二人乗りで走っている姿を見かける。知り合いのドイツ人は、フランクフルトからミュンヘンを経由してオーストリアのザルツブルグまでの540㎞の旅なんて「楽ちんだから快適だ」と言っていた。ムルティストラーダはムルティ(多様)と銘打ってはいるものの、オンロードでの快適なツーリングが主眼という。長距離を疲労感なく走れてしまうところに、欧州生まれのモーターサイクルの底力を感じる。
ライディング自体が喜びであるものの、ツーリングならば、楽しみになる目的地が欲しい。そう考えている人に勧めたいのが、ふふ熱海だ。エントランスへ続く小川を渡ると、都会の喧騒を忘れさせてくれるような穏やかな空間が広がる。川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾け、心身を解き放ち、ゆったりと贅沢な時間を過ごしたい。
ふふ熱海は、すべての客室が熱海温泉の露天風呂付きスイートルーム。到着後は客室でのんびりと温泉に浸かったり、世界各国の格式高いホテルで展開するスパ「Spa by sisley」で旅の疲れを癒やすのもいいだろう。遠くに海を望む屋上のテラス「月読」では、夕食までフリーフローを楽しむこともできる。また地元の食材を取り入れた夕食は、日本料理、鉄板焼き、鮨割烹とバリエーションを用意。この料理を目的に訪れるゲストも多いという。
熱海駅の開業から今年で100年。豊かな温泉が湧き出る熱海は、多くの人を引き付けてきた。ふふ熱海は、この地の歴史や文化を尊重しながら、現代のもてなしやくつろぎを取り入れた宿としてオープン。上質で洗練された空間で温泉に浸かり、こだわりの料理を堪能する時間は、まさに至福のひとときと言えるだろう。
ふふ熱海で心身を癒やし、明日への活力を養ったあとは、適度に屈曲が続く国道135号線で海沿いの景色を楽しみながら、というのもいいし、箱根を超えて伊豆スカイライン経由のコースもモーターサイクル好きなら食指が動くはず。
宿を出る前にムルティストラーダV4を停め、じっくりと眺める。そのときの喜びを、ぜひ体験してもらいたい。凝縮された時間のあとの精神の充足感こそ、このイタリア生まれのモーターサイクルが与えてくれる最大の贈り物だ。ほかではなかなか手に入らないものだと思う。
ムルティストラーダプレミアムカタログプレゼント
アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で20名様にムルティストラーダプレミアムカタログをプレゼントいたします。下記URLにある項目にご入力のうえ、送信してください。応募締め切りは8月31日(日)となります。また、カタログの発送は2025年9月上旬を予定しております。