天草といえば世界遺産にも登録されるキリシタンの歴史や南蛮文化が知られているが、豊かな自然に育まれた海の幸と山の幸も魅力。夕食はダイニング「わび」にて、日本料理と鮨すしを堪能したい。近海でとれた旬の魚介を、料理人が自ら厳選し、最良の形で提供。ブランドよりも、本当においしいものだけを追求した、珠玉の一皿が味わえる。席は個室とカウンターから選ぶことができ、いずれも刻一刻と雰囲気を変える壮大な海の景色が、料理をさらにドラマチックに彩ってくれる。
景色から館内に目を移せば、地元や国内外の芸術にも触れることができる。キーホルダーや客室のオブジェは、熊本の彫刻家・上妻利弘(こうづまとしひろ)氏によるもの。ラウンジや客室は、天草出身の画家・横島庄司氏の作品が飾られている。エントランスには、スペインのアーティスト、イノクオ氏による魚のオブジェが。作家の作品でなくとも、ふとした折に、天草さらさや天草産の陶磁器など、天草のアートに出合う瞬間も楽しい。
天草の海の景色と、静寂に包まれたハイクラスな空間、地元ならではの美食、そして豊かな文化。すべてが渾然(こんぜん)一体となったもてなしが、旅の忘れがたい思い出となるだろう。ほかでは体感できない、極上の休日を「天ノ寂」で満喫してもらいたい。
●天ノ寂
TEL 0969-56-3888
※『Nile’s NILE』2024年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています