未来に寄り添う“本物”の追求

国内外の上質なアイテムを取りそろえる、髙島屋のセレクトショップ「サロン ルシック セレクト」は、常に“本物”を追求し、10年間走り続けてきた。時代や環境、価値観が大きく変化したこの10年間で、ドレスファッションの定義は形を変えつつある。世界を渡り歩き、本物を探す、バイヤーの米島力伊氏と大森貴登氏に「サロン ル シック セレクト」の進化と時代の流れを楽しむコツについて話を聞いた。

Photo TONY TANIUCHI  Text Saki Shibata

国内外の上質なアイテムを取りそろえる、髙島屋のセレクトショップ「サロン ルシック セレクト」は、常に“本物”を追求し、10年間走り続けてきた。時代や環境、価値観が大きく変化したこの10年間で、ドレスファッションの定義は形を変えつつある。世界を渡り歩き、本物を探す、バイヤーの米島力伊氏と大森貴登氏に「サロン ル シック セレクト」の進化と時代の流れを楽しむコツについて話を聞いた。

未来に寄り添う“本物”の追求、 高島屋 サロン ル シック セレクト
米島力伊 よねしま・りきい
髙島屋 MD本部紳士服部 バイヤー
2012年、髙島屋入社。大阪店でメンズレザーアイテム、メンズビジネスプレタ売場の販売担当等を経て、19年からMD本部紳士服オーダースーツ・フォーマル担当バイヤーとして活躍。21年からは現職のメンズインポートファッション担当バイヤー。

大森貴登 おおもり・たかと
髙島屋 MD本部紳士服部 バイヤー
2017年、髙島屋入社。日本橋店でCSケーススタディ売場、サロン ル シック セレクト売場の販売担当を経て、紳士服フロアマネージャーとして活躍。22年からは現職のメンズインポートファッション担当バイヤー。

セレクトショップ「サロン ル シック セレクト」が誕生したのは2014年。当時は自然に胸板が厚く見えるようにバストを強調したジャケットに細身のスラックスを合わせた逆三角形シルエットのイタリアンファッションをメインに人気を集めていた。そこから10年。働き方の変化や環境問題など時代の流れとともに、ドレスファッションの定義も進化を遂げていると、バイヤーの米島力伊氏は語る。

「特にシルエットのバリエーションは格段に増えました。デザインもオンオフ問わず楽しめるようにカジュアル化してきている。そこで、展開のメインであったイタリアンファッションのみならず、世界各国の伝統文化を大切にしたものづくりに着目しようと考えました」

米島氏は、同じくバイヤーの大森貴登氏と世界を飛び回り、唯一無二の本物を追い求めた。そこにはインドの手織りコットンや中国のクロシェット編み、フランスの洋服細部にあふれる意匠など、世界は素晴らしいものづくりにあふれていた。

「私たちがミラノやパリに足を運び実際に見て仕入れているところも自信を持って勧められる点だと思っています。価格に関係なく〝本質〞を肌で感じ、今も今後も寄り添ってくれる服に出会って欲しいです」(米島)

世界中のブランドから買い付けする際には日本人に合う色味や体型に気を配ってセレクトするのも重要だ。大森氏は、その中でも国内ブランドにはないサイズ感や色目を提供できることが強みだと話す。

「国内ブランドのサイズが合わないというお客様のご相談が案外多かったりします。輸入品は袖や着丈が長いデザインが多いのでそこを解決できるのも当店の魅力だと思います」

今年10周年という節目に、世界各国のファクトリーブランドと別注アイテムの制作に取り組んだ。二人は実際に現地工場へ足を運び、デッドストックの生地探しや工場・アトリエに直接かけ合い、着丈や袖の長さなど細かなデザインまで〝本物〞を追求し、手掛けたのだ。ファクトリーブランドと手を組むことで歴史やクラフトマンシップを尊重しながら、大量生産をしない衣服ロス問題も解決できる。さらに染色では髙島屋の〝あるもの〞に目を向けた。

「`T(ティー)という日本ブランドとアウターを作った際には、髙島屋のギフトで展開する自社ブランドの製茶工場と協業し、生産過程で床へ落ちた茶葉や、使わない茎部分を回収し、染料として再活用し洋服を染め上げました。エコなものをたくさん作るより、ものづくりでロスを解決するという点を重視しています」(米島)

選択肢が増える世の中で、自身のスタイルを確立するにはという問いには、ブレることのない精神が宿る。「私たちがブランドのフィロソフィーや〝本質〞を見てお客様に自信を持って伝えるということ。そうすることで、熱量が宿りストーリーになります。それはお客様にもきっと伝わり、個々のスタイルにもつながっていくと思っています」(大森)

●日本橋髙島屋S.C.本館6階 サロン ル シック セレクト
TEL 03-3246-4258(直通)

※『Nile’s NILE』2024年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。