渓谷のサンクチュアリへ

箱根に抱かれる邸宅―そんなコンセプトを掲げ、2024年7月にアートミュージアムホテル「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」が誕生した。実はここ、ハワイで絶対的な価値のある滞在を届けてきた日本発のホテルブランド、エスパシオによる国内初の拠点だ。サンクチュアリとも呼べる箱根・宮ノ下の静謐な渓谷で、誰も味わったことがない新たなプライベートステイを堪能したい。

Photo Kentauros Yasunaga(*以外)  Text Asuka Kobata

箱根に抱かれる邸宅―そんなコンセプトを掲げ、2024年7月にアートミュージアムホテル「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」が誕生した。実はここ、ハワイで絶対的な価値のある滞在を届けてきた日本発のホテルブランド、エスパシオによる国内初の拠点だ。サンクチュアリとも呼べる箱根・宮ノ下の静謐な渓谷で、誰も味わったことがない新たなプライベートステイを堪能したい。

渓谷のサンクチュアリへ、エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍
渓谷の谷底に湧き出る希少な堂ヶ島温泉を独占する「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」。最高峰の客室である「匠」のテラスには、メインプールと川に臨むジェットバスを備えている。

箱根登山電車の宮ノ下駅から徒歩約5分。国道1号沿いに白いのれんがかかった小さな庵がある。ここから出る専用の渓谷電車が、日常から非日常へと導く架け橋だ。徐々に周囲が深い緑に覆われ、川のせせらぎが聞こえてくると、箱根の自然に抱かれて深い安らぎを感じる未知の滞在が始まる。

美しい渓谷を滑空するように、谷底の異世界に踏み入ると、そこには客室となる端正な9棟のヴィラがひっそりとたたずんでいる。その一つひとつが、邸宅を思わせる完全なプライベート空間だ。すべての客室にリビング&ダイニングルーム、ベッドルームのほか、内風呂、露天風呂、プールを備え、さらに一部にはサウナも用意。ベッドルームを二つ配したヴィラもあるため、2世帯や友人との滞在にも利用しやすい。

和の趣を漂わせながらもモダンにしつらえたそれぞれの客室のなかで、何よりも目を引くのは、吉祥の象徴であり箱根四神となる麒麟(きりん)、鳳凰(ほうおう)、亀、龍を表現したアート作品だろう。日本の伝統的な美術工芸を手掛ける8名の作家、箔工芸作家・裕人礫翔(ひろとらくしょう)氏、唐紙師・トトアキヒコ氏、左官職人・挾土秀平(はさどしゅうへい)氏、彫刻家・橘智哉氏、組子職人・塩澤正信氏、染色作家・福本繁樹氏、漆造形家・村本真吾氏、書家芸術家・遠藤泉女(せんにょ)氏による作品が、安らぎの時間をより豊かなものにしてくれる。厳選された作家の斬新かつ優雅な作品をそばにくつろげる機会はまたとなく、それがここをアートミュージアムホテルと称するゆえんとなっている。

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    二つのベッドルームと内風呂があり、2家族でも利用しやすい客室「大地」。テラスの左奥には川を目前に望む露天風呂がある。
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    「大地」のベッドルームには、左官職人・挾土秀平氏による作品が。「瑞鳥(ずいちょう)の飛び立つ音に振り向くと、かすかに舞う羽だけがみえた」というイメージを描いている。
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    プールに隣接するサウナを備えた客室「煌(きらめき)」。棟の東西南北には、彫刻家・橘智哉氏が鍛金彫刻により生み出した麒麟、鳳凰、亀、龍をそれぞれ飾っている。
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    青色を中心に用いた作品を手掛ける唐紙師・トトアキヒコ氏の唐紙が空間を彩る客室「碧(あお)」。ベッドルームの正面に望む川のきらめきと作品が呼応するかのようだ。
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。