オーバーランドツアーが充実
クルーズは「朝港に着いて周辺を観光し、夕方、次の寄港地に向けて出港」というパターンが多い。せっかく南米まで来ているのに、それではちょっともったいないし、寂しい。本クルーズはそのあたりに配慮し、豊富過ぎるくらいの小旅行プランを用意している。
出色は全12コースのオーバーランドツアー。船を離れて空路または陸路を使い、寄港地から遠方の土地を訪れる、数泊のオプショナルツアー(別代金)である。四つの魅力的なプランを紹介しよう。
一つ目は秘境の代名詞・ガラパゴス諸島。ゾウガメ、リクイグアナ、ウミイグアナなど、独自の進化を遂げた動物が生息するガラパゴス諸島を2日間のデイクルーズで巡るほか、植民地時代の面影を残すペルーのリマやチリのサンティアゴの市内観光などが楽しめる。とりわけ世界遺産にも登録されているリマの貴重な建築群は圧巻だ。
二つ目はペルーの至宝、マチュピチュ遺跡。ふもとの村に2連泊し、インカ帝国の「空中都市」とその周辺を巡る。インカ帝国の秘密に迫る面白さや、ふもとの村での買い物や散策など、心躍る体験ができること、必至である。
三つ目は地球最後の秘境、南極。雪と氷に覆われた絶景に、息をのむばかり。一方でペンギンやウェッデルアザラシ、ザトウクジラなどの生き物たちに癒やされるなど、さまざまな感動が得られる。
四つ目は圧倒的スケールと迫力を誇るイグアスの滝。世界最大規模のこの水流を、アルゼンチン・ブラジル両側から観賞できる。加えて青く美しいカラファテの氷河に足を延ばすコースもあり、地球が水の惑星だと実感させられる。
ほかにも世界最大の熱帯雨林を豪華小型客船で周航するアマゾンクルーズや、世界で最も平らな場所とされるウユニ塩湖など、いずれ劣らぬ魅惑の旅ぞろいである。
さらにうれしいのは、これらオーバーランドツアーに加え、豊富な寄港地観光ツアーが用意されていることだ。
一つは追加代金なしで参加できる招待ツアー。チリ・イースター島、フォークランド諸島・ポートスタンリー、リオデジャネイロの三つの寄港地で設定されている。なかでも「リオのカーニバル」は、コンテストを勝ち上がった上位のチームが優勝をかけて真剣勝負を繰り広げるパレードを観賞できる。
もう一つは、それぞれの寄港地で用意されているオプショナルツアー(別代金)。ナスカの地上絵(カヤオ)や野生動物ウォッチング(ウシュアイア)、ジャングルリバークルーズ(プンタレナス)など、心沸き立つプログラムが目白押しだ。
好奇心の赴くままに、でも体調と相談しながら、無理のない範囲でツアーをチョイス。南米ならではの観光を堪能したい。
退屈とは無縁の船上ライフを実現
「南米ワールドクルーズ」の魅力はまだまだある。設備的にも、エンタメや趣味のプログラム的にも、乗客を決して退屈させない仕掛けが、盛りだくさんであることだ。
例えば「朝はアクティビティエリア来光で目覚めのヨガ」「日中は趣味の教室やワールプールでの語らい」「夕方はスパで癒やしのひととき」「夜はデッキで星降る夜空に心酔」「エンタメ気分の日は映画やオーシャンステージでのショーを観賞」といった具合に、朝昼晩、思い思いに豊かにして知的な時を過ごせる。こうした〝船上体験〞が後のセカンドライフをより充実させるきっかけになることも期待できそうだ。「MITSUI OCEANFUJI」という船は、好奇心旺盛なシニアの〝遊び場〞として、また紳士淑女の社交場として、申し分のない舞台となるだろう。
いざ南米へ。クルーズならではの時間の流れに身を任せ、大海原に遊ぶ。これほどの贅沢が味わえるなんて、「シニアの本懐」である。