南米は遠い。絶景・秘境の宝庫で多くの人が憧れながらも、なかなか旅の一歩を踏み出せない。「行ってみたい」ポイントがあり過ぎて、日本を拠点に飛行機で何度も往復する方式では、時間と労力がかかり過ぎるのだ。どうすれば南米との距離を縮められるのか。ベストチョイスは周遊――ロングクルーズである。
今回紹介する「南米ワールドクルーズ」は、南米の見どころを効率的に、でもゆっくりと一筆書きするように回る、ラグジュアリー感あふれる大航海だ。
スモールラグジュアリーの粋
14の国・地域と19の港を巡るこの壮大なプランは横浜港が起点だ。サイパン、マジュロ、タヒチなどを経て、1カ月ほどでペルーのカヤオに入港。南米に入ると、チリ、アルゼンチンへ南下し、2月下旬に南米最南端・ビーグル水道を航行。太平洋から大西洋へと抜け、北上に転じる。そしてアルゼンチン・ブエノスアイレスから3月上旬にブラジル・リオデジャネイロに入り、さらに北上してパナマ運河を通航。その前の14日にはうまくいけば皆既月食が見られるとか。船上で眺める天文ショーは実に魅力的だ。そして最後はコスタリカ・プンタレナス、メキシコ・プエルトバヤルタ、ハワイを経て4月9日、横浜に帰港する。
これだけ刻むように多くの港に寄れるのは、「MITSUI OCEANFUJI」が比較的小型で小回りがきき、港の大小を選ばないからだ。
また小型だからこそ可能な贅は他にもある。客室数が229と少なめなおかげで、一人ひとりに「かゆいところまで手が届く」ようなきめ細かなサービスが提供される。
もちろん客室はオールスイートで、全室海側、ベランダ付き。例えば「ペントハウススイート」(2名1室利用1696万5000円〜)は、約40㎡と広く、ベッドルームが壁で仕切られるなど居住性が高いうえに、バトラーの上質なサービスが提供される。まさに「洋上のわが家」のように過ごせる。
さらに食事は、さすが「美食の船」と称される「にっぽん丸」の系譜。美味の一語に尽きる。それでいて毎日続くと胃が疲れるような豪華な食事は、3日に1度くらい。あとは焼き魚や煮物、みそ汁などの家庭料理が中心で長旅への配慮が行き届いていると言えよう。「MITSUI OCEAN FUJI」はつまり、スモールラグジュアリーの粋を集めた客船なのである。