「街の記憶」を未来につなぐ

SDGs×企業 第29回

真に持続可能な街づくりとはスクラップ&ビルドではなく、その街ならではの記憶とアイデンティティーを大切にし、未来へと継承するものである。NTT都市開発では地域の文化の踏襲と経済発展に貢献するために、各地の企業と協働する「共創型」の街づくりを進めている。街や文化への人々の思いと歴史が、京都を始め各地に新たな名所を生み出している。

Photo   Text Rie Nakajima

SDGs×企業 第29回

真に持続可能な街づくりとはスクラップ&ビルドではなく、その街ならではの記憶とアイデンティティーを大切にし、未来へと継承するものである。NTT都市開発では地域の文化の踏襲と経済発展に貢献するために、各地の企業と協働する「共創型」の街づくりを進めている。街や文化への人々の思いと歴史が、京都を始め各地に新たな名所を生み出している。

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    ラテン語で「招待する」という意味の名を持つ「voco大阪セントラル」。宿泊客だけでなく周辺のワーカーや住民が集う場を提供。
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    元講堂から生まれ変わった「The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu(ザ・ホテル清龍 京都清水)」の西洋料理レストラン。約1100冊の書籍が並ぶアカデミックな空間。©フォワードストローク
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    京都市指定・登録文化財第1号である旧京都中央電話局の面影を残す「新風館」の外観。デザイン監修は建築家の隈研吾氏。©フォワードストローク
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    町家の部材を用い、蔵や庭など京町家の伝統的な構成を踏まえて再構築された「THE HIRAMATSU 京都」の外観。©フォワードストローク
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京都だけでなく、23年5月にはIHGホテルズ&リゾーツの新たなプレミアムホテルブランド「voco大阪セントラル」がオープン。ここでは古くから商人が市場を開いて栄えてきた大阪・京町堀エリアの歴史をくみ、四つ橋筋に面して開放的なレストランを設け、そのファサードにガラスカーテンウォールを採用して通りのにぎわいと一体感を持たせている。2層吹き抜けの低層階にはかつて京町堀に立ち並んだ蔵に着想を得た木組みのデザインをあしらい、戦前の民家で実際に使われていた柱や梁を再利用した古木を採用することで、新しくも懐かしい特別な空間としてゲストを迎える。かつてこの地にあった「京町ビル」で使われていた外装レリーフや郵便受け、扉なども館内アートや外壁に再利用された、大正ロマン薫る空間が特徴的だ。

地域の記憶と資産を先進の建物へと踏襲し、地域の価値共創に貢献する。NTT都市開発のこの活動は、京都において顕著であり、すでに紹介した2軒のほかにも、20年に京都市の旧京都中央電話局跡に位置する商業・宿泊施設「新風館」および「エースホテル京都」をオープンさせた。いずれも歴史的建造物を生かした改修や文化財の保全、周囲の景観と調和したレイアウトなどを施すことで、地域のランドマークとして親しまれている。

さらに、25年夏ごろに開業を予定している「元新道小学校跡地活用プロジェクト」も進行中だ。かつて花街のあったエリアに位置し、「“街の記憶の継承”と“新たな共存価値”の創造」をコンセプトに再整備を行う。小学校を含めた一帯を3次元でのデジタルアーカイブ化し、小学校と共存してきた宮川町歌舞練場を生まれ変わらせるとともに、バーチャル映像技術で新たな花街文化の発信を行うなど、地域文化を継承し、新たな人の流れを生む回遊性のある街づくりを目指している。

歴史ある文化施設は、重要な文化遺産であるだけでなく、地域のアイデンティティーである。こうした施設を、これからも産業や社会に大きな役割を担い続ける存在として「継承・向上」させることは、NTT都市開発が手掛ける街づくりの重要なミッションだ。実現には、各地域と協働することで、街に根付いた歴史・文化を深く理解することが不可欠である。伝統的な街並みと近代的な施設を融合させ、より活力ある街づくりへとつなげていく。同社のさらなる挑戦に注目したい。

●NTT都市開発 広報室
TEL 03-6811-6241
www.nttud.co.jp

※『Nile’s NILE』2024年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。