ALOHA ISM

ハワイ最後の女王リリウオカラニは言った。「アロハとは、語られていないことを知り、形のないものを見る目を持ち、理解し得ないことを理解すること」。フィロソフィカルな、たやすくはない命題。ハワイは何と神秘に満ちて、奥深い魅力を秘めた島なのだろう。私たちはいつから、なぜこの島に引かれたのだろう。今や遠い故郷とさえ思えるようになったオアフへ、考え抜いた100の言葉より、心で感じるアロハスピリットを探し求めた。

Photo Satoru Seki  Text Eri Takahashi

ハワイ最後の女王リリウオカラニは言った。「アロハとは、語られていないことを知り、形のないものを見る目を持ち、理解し得ないことを理解すること」。フィロソフィカルな、たやすくはない命題。ハワイは何と神秘に満ちて、奥深い魅力を秘めた島なのだろう。私たちはいつから、なぜこの島に引かれたのだろう。今や遠い故郷とさえ思えるようになったオアフへ、考え抜いた100の言葉より、心で感じるアロハスピリットを探し求めた。

ALOHA ISM、ハワイ特集
1950年前後はレーヨン素材の黄金期。発色とドレープの美しさでことさらビンテージファンに人気が高い。ブランドは右から、カワイハウ、カハナモク、ピカケ。

アロハ! こんにちは、お元気ですか。アロハ! いつかまた、さようなら。出会いの時も、別れの時も交わすこのあいさつは、「愛情」「思いやり」といった意味があるハワイ語である。たとえそれが「一期一会」であったとしても、「アロハ」という一言で気持ちは魔法のように通じ合う。この島々を訪れるたびに、そう感じるのは、言葉が心地良い響きを持つからだろうか。

ネイティブハワアインの言葉は、いずれも非常にスピリチュアルな意味合いを含んだもの。自然崇拝を源とする彼らは、森羅万象に命があり、精霊が宿り、それらを感じ取ることで言葉が生まれたと根本的に考えている。アロハは、 “相手の顔の横で呼吸をする”といった動作を意味するそうで、何とも親密で、人間愛の証しとしてのあいさつだと分かる。

町で出会う日系三世、四世たちは、ハワイっ子らしい明るさの中にも、どこかつつましやかな日本人気質を残しているし、町角のふとした所で見かける日本的なしつらえには、懐かしい思慕さえも抱いてしまう。歴史も血統もつながっているのなら、この島にもっといたいと感じる理由に納得できる。

さらに興味深いのが、アロハシャツの事始めである。かつて日本の反物を材料に、原型となるシャツを仕立てたのは100年以上前にハワイへ渡った日本人移民であり、頭にアロハと付けて商品名としたのはその二世。つまりは発案・素材・技術とも日本と関連している。古き良き時代の雰囲気を今に伝える、ビンテージアロハをめでる旅もまたいい。

  • ALOHA ISM、ハワイ特集 ALOHA ISM、ハワイ特集
    ホノルルの町にとけ込み、“ハワイらしさ”を感じさせてくれる「ベイリーズアンティーク&アロハシャツ」の外観。1980年のオープン以来、アロハシャツファンを引きつけてやまないショップだ。
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    アロハシャツ専門店が並ぶホノルルの町並み。ゆったりとした町の雰囲気を味わいながら、気の向くままにショップをはしごして、アロハの向こう側に隠されたハワイアンスピリットを探してみたい。
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。