メゾンテルモンは、1912年の創設以来、環境保護とサステナブルな生産方法に深く取り組むシャンパーニュメーカーである。
2031年までにすべてのブドウ園を有機農法に切り替えるという目標を掲げ、100%再生可能エネルギーの使用、ギフトボックスの使用中止、航空輸送の禁止し、より二酸化炭素の排出係数が低い風力による海上輸送など環境に配慮したさまざまな取り組みを行っている。また、ボトルに個別番号を表示し、それぞれの中身とワイン製造工程に関するすべての情報が表示される透明性お表現している。
2024年2月、テルモンは「19万3000色のグリーン」プロジェクトを発表した。
これはフランスのガラスメーカー、ヴェラリア社と連携し、「トランジショングラス」と呼ばれるガラスの色を元の色から別の色に変える際に発生するガラスを、廃棄せずに使用するというものだ。これまで85%リサイクルガラスを使用したグリーンボトルを採用していたが、ロット全体で19万3000本相当のガラスボトルが廃棄されていた。
このプロジェクトにより、色の異なるリサイクルガラスボトルを積極的に使用し、大量のガラス廃棄を防ぐ。これにより、テルモンのシャンパーニュはグリーンからシナモンまで様々な色調のボトルで提供されることになる。
テルモンのCEO、ルドヴィック・ドゥ・プレシ氏はこう語る。「19万3000色のグリーンは、私たちの哲学を示しています。私たちにとって持続可能性は制限でも制約でもなく、創造性と革新の基盤なのです。グリーンのそれぞれの色調が、環境に対する私たちのコミットメントを象徴しています。私たちはこのプロジェクトを通して、ボトルの色を変えるだけでなく、ワイン業界を変革する意気込みです。母なる自然の名のもとに」
一本ずつ異なるグリーンのグラデーションは、見た目にも美しい。たとえば、店頭でボトルカラーのニュアンスまで厳選して贈られたら、受け取った側の喜びもひとしおだろう。ボトルの色が違うことで異なる楽しさも感じられ、この美しさと喜びこそが、まさにエレガンスと環境責任に同時に取り組むテルモンらしさであると言える。
社会に新しい価値を生み出すイノベーションにより、これまで以上に環境に配慮するテルモンのものづくり。シャンパーニュ業界のみならず、他業界にも確かな一石を投じるプロジェクトと言えるだろう。
●レミー コアントロー ジャパン
TEL 03-6441-3025
jp.champagne-telmont.com
※『Nile’s NILE』2024年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています