レコードを回し続ける

昔ながらの町並みが残る文京区白山。移転を経験しつつも、その一角で45年の時間を重ねた喫茶店がある。ジャズ好きが集まり、音楽や映画、詩を始めとする文化の発信地として多くの人々をつないできたジャズ喫茶映画館だ。

Photo Satoru Seki  Text Mizuki Ono

昔ながらの町並みが残る文京区白山。移転を経験しつつも、その一角で45年の時間を重ねた喫茶店がある。ジャズ好きが集まり、音楽や映画、詩を始めとする文化の発信地として多くの人々をつないできたジャズ喫茶映画館だ。

レコードを回し続ける、JAZZ&somethin'else 喫茶 映画館
吉田昌弘 よしだ・まさひろ
東京都生まれ。78年、自身の母親と共に「喫茶映画館」の営業を始め、82年のリニューアルでジャズ喫茶として「ジャズと映画を発信する文化の中継基地」を目指す。映画人として向井寛や唐十郎などの作品に携わるも、2000年以降はジャズ喫茶経営に専念。ライブやトークイベント、映画の上映会なども積極的に企画している。

かわいらしい緑色の扉を押せば、まず右手に見えるのは巨大なオーディオセット。重低音専用据置型スピーカーボックスの上に、左右のバレンシアボックススピーカー、ウッドホーン。自作の音響システムでジャズ通の客を迎えるのは、マスターの吉田昌弘氏だ。文京区白山。現在は薬師坂の途中、白山神社の参道入り口近くで「JAZZ & somethin’else 喫茶 映画館」の看板を掲げるが、開業当時は坂の下に店を構えていた。

レコードを回し続ける、JAZZ&somethin'else 喫茶 映画館、ジャズ喫茶特集
営業は16:00から22:00まで。店内ではコーヒーだけでなくアルコール類も提供されている。古い映写機と看板を目印にして、小さな階段を下ったところにある。

1978年の開業時、吉田氏は映画の助監督の仕事をしていた。そのため店も映画色が強く、当時は店名も「喫茶 映画館」。その後、82年の移転を機にジャズ喫茶として方針を定め、本格的な機器を導入した。生の演奏に近い音を追求し、機材は現在もアップデートを重ねている。

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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