繊細な織物で描くアジサイ

2023年7月、インテリアファブリックスブランド、Sumiko Hondaの約1年半ぶりとなる最新作が発表される。梅雨空の鈍い光のなかで、ぼんやりと柔らかな色彩を放つアジサイがメインモチーフだ。日本の自然情景を織り上げた繊細なファブリックがまた新たな表現を加え、暮らしに鮮やかな彩りをもたらしてくれる。

Text Asuka Kobata

2023年7月、インテリアファブリックスブランド、Sumiko Hondaの約1年半ぶりとなる最新作が発表される。梅雨空の鈍い光のなかで、ぼんやりと柔らかな色彩を放つアジサイがメインモチーフだ。日本の自然情景を織り上げた繊細なファブリックがまた新たな表現を加え、暮らしに鮮やかな彩りをもたらしてくれる。

川島織物セルコン
2023年の最新作は、日本原産であり、梅雨を代表する花として広く知られるアジサイをメインモチーフに。緯糸に2色に染め分けた糸を使うことで表現力をアップした。アジサイ柄は近年人気が高いブルー系を中心に5色を用意。

梅雨空が増え始める芒種(ぼうしゅ)の頃、雨で煙るぼんやりとした街のなかに、色鮮やかなアジサイが浮かび上がる。青や紫、ピンクなど、新緑に映える色合いながら、風景に柔らかくなじむ日本らしい花だ。四季折々に美しい日本の自然情景を織物で表現するインテリアファブリックスブランド、Sumiko Honda(以下SH)の2023年新作は、そんなアジサイをダイナミックに描いている。

同ブランドは、古くからの織物産地である京都・西陣に創業し、170年以上もの歴史を刻んできた川島織物セルコンによるもの。織物の技術を生かして幅広いインテリアファブリックスブランドを展開するなかでも、最高級となるのがSHだ。

「原画は水彩や墨で描き、揺れのあるラインや微妙なにじみを織物で再現するために、糸や染料、経糸と緯糸の構成などを何度も検討しています」と話すのは、SHの生みの親であり、同社のインハウスデザイナーである本田純子氏。彼女が捉えた“季節の移ろい”や“光と影”は、多様な糸を緻密な設計図に基づいて織り上げることにより、奥行きを感じさせる美しいファブリックとなるのだ。

川島織物セルコン
水彩画のニュアンスを織物で表現するため、糸の色や種類、構成を綿密に計画。

アジサイを描いた今回のデザインでは、1本を2色に染め分けた糸を使用。これまで以上に複雑で立体感のある表現をかなえた。さらにアジサイのボリューム感を生かした大柄のデザインに挑戦。「大胆で華やかな一方で威圧感が出ないよう、背景にはあえて同系色を使っています。アジサイの根元に生えていた植物のシルエットも一緒に描き、全体の輪郭をぼかしているのですが、それが雨の鈍い光のなかにぼんやりと咲いている情景にぴったり重なりました」と振り返る。

1 2
ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。