天草上かみ島しまの北東の岬、碧く広がる東シナ海と大小19の島々を見渡せる高台にたたずむ「天草 天空の船」。
海に向かってせり出した堂々たる姿は、まさに大海原を航行する豪華客船のごとく、優雅な趣に満ちている。
絶好のロケーションを生かした大胆な設計は、同じ天草エリアにある名宿「天使の梯子」や「海ほたる」を手がけた建築家の三澤浩之氏によるもの。海と空が一体になった風景に、曲線を描く白亜の建物がドラマチックに映える。
宮城県の松島、長崎県の九十九島と並ぶ日本三大松島の一つである天草松島は、天草四郎ゆかりの地として有名で、年間200万人近くの観光客が訪れる景勝地。中でも風光明めい媚び な景観で人気の雲仙天草国立公園内に、天草 天空の船は全12室の客室を擁する本館と3棟のヴィラを構えている。本館を含め全ての客室はオーシャンビュー。最上級の「パノラマビューヴィラ」は岬の突端に位置し、視界を遮るもののない絶景を独占できる。
「アイランドビューヴィラ」は、「日本の夕陽百選」に選ばれた美しいサンセットを望むAタイプと、五つの島を結ぶ天草五橋を望むBタイプの2室。いずれも自然と調和する洗練されたデザインだ。
全室に露天風呂を完備しており、まろやかな泉質で美人湯として知られる天草松島温泉を、松島の大パノラマとともに好きなだけ楽しめる。
海を一望するレストラン「フェスタ・デルマーレ」でいただく食事も、滞在中の楽しみの一つ。イタリア6都市で料理を学んだシェフの山本総氏が、有明海で取れた海産物や幻の地鶏「天草大王」、天草黒豚「梅肉ポーク」など地元産の食材をたっぷり使い、ヘルシーな本格イタリアンに仕上げている。
特に野菜にはこだわりがあり、シェフみずから県内の農家を訪ね歩いて探し出した、よりすぐりの有機野菜をそろえているという。さらに、伊勢エビ漁が解禁となる初秋から年末にかけては、スペシャルメニューも登場。九州指折りの食材の宝庫といわれる天草ならではの、ラグジュアリーな食体験だ。
ソムリエを務めるのは、2018年に全国大会で優勝し、イタリア大使館から「イタリアワイン大使」の称号を授与された田上清一郎氏。料理に舌鼓を打ちながらワインの話に耳を傾けるのも一興だ。
プールサイドに併設されたバリエステサロン「イヴ ラウ」(インドネシア語で「母なる海」という意味)
では、西洋の解剖医学に基づいて生まれた「スウェディッシュ」という技で疲れた体をトリートメント。筋肉組織の深部まで丁寧に刺激を与え、ほぐしていく。開放的な南国風の空間で海の風を感じながら、心身ともにリラックスできる。
絶景に美食、癒やしと魅力に満ちた天空の船。館内の至るところから視界に飛び込んでくる海の青さが心地よい高揚感を誘い、日常を忘れさせてくれる。滞在中の全ての瞬間が特別に感じられるような極上のクルージングに、大切な人とともに旅立ってみてはいかがだろうか。
●天草 天空の船 TEL0969-25-2000
※『Nile’s NILE』2019年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています