洗練された織物が送る「静かなエール」

「Sumiko Honda」の新作インテリアファブリックス。華やかで凜としたたたずまいが目を引く胡蝶蘭。「幸福が飛んでくる」という花言葉は祝い事に贈る花としてふさわしく、その優美で気品ある姿が豊かさや強さを象徴しているようだ。2020年10月、インテリアファブリックスブランド「Sumiko Honda(以下SH)」は、この胡蝶蘭をメインモチーフに「静かなエール」をテーマとした新作を発表。何にも負けない強く静かなエネルギーを生き生きとした自然情景で表現した新たな色柄を追加した。

Text Asuka Kobata

「Sumiko Honda」の新作インテリアファブリックス。華やかで凜としたたたずまいが目を引く胡蝶蘭。「幸福が飛んでくる」という花言葉は祝い事に贈る花としてふさわしく、その優美で気品ある姿が豊かさや強さを象徴しているようだ。2020年10月、インテリアファブリックスブランド「Sumiko Honda(以下SH)」は、この胡蝶蘭をメインモチーフに「静かなエール」をテーマとした新作を発表。何にも負けない強く静かなエネルギーを生き生きとした自然情景で表現した新たな色柄を追加した。

胡蝶蘭をモチーフにした「バッラーレ」は、モダンエレガントを象徴するような柄
胡蝶蘭をモチーフにした「バッラーレ」は、モダンエレガントを象徴するような柄。しなやかな花と直線を描く幾何学模様の組み合わせが新鮮な印象をもたらしてくれる。

京都・西陣を拠点とする川島織物セルコンが展開するSHは、同社の最高級ライン。インハウスデザイナーである本田純子氏の研ぎ澄まされた感性により、日本の表情豊かな四季を織物にデザイン。季節の移ろいや光と影、水や空気の流れなどを丁寧に描き出し、同社の職人が持つ高度な技術によりその微妙な濃淡までも織物の中に表現している。

SHの大きな特徴の一つが、多様な糸を綿密に組み合わせて二重に織る「風通織」を取り入れていること。角度によっては表面に現れていない糸が見え、立体感や奥行き感を表現できるのだ。そして今回の新作では、さらに織物らしい魅力が感じられる仕上がりに。胡蝶蘭がモチーフの「バッラーレ」では、「姿綴じ」という刺繡のように見せる織り方で肉厚な花弁の質感を出し、気品と高級感を実現。さらに、収縮糸を随所に組み込むことで凹凸を出し、織物ならではの美しい陰影を生んでいる。

あえて緑の濃淡だけで複雑かつ繊細に構成し、織物の魅力を際立たせた「ビーニャ」。
あえて緑の濃淡だけで複雑かつ繊細に構成し、織物の魅力を際立たせた「ビーニャ」。ブドウの葉やツルを絵画的のように描き、奥行き感を出した

また、草花をそのまま絵画のように表現した柄が定番となっているSHだが、今回は少し印象を変えて胡蝶蘭の花、蕾、葉を切り離してパターン化。背景に四角い幾何学模様を入れて構成し、モダンに仕上げた。フレームにも見える幾何学模様に胡蝶蘭がリズム良く重なるモダンエレガントなデザインは、どこかダンディズムを感じさせ、男性からも人気を集めそうだ。背景となっている幾何学模様のみで構成した「シレンテ」も新作にラインアップしている。

ブドウの葉とセンリョウの実をパターン化した「クラータⅡ」
ブドウの葉とセンリョウの実をパターン化した「クラータⅡ」は、琳派の作品のような和モダンの趣を感じさせる

さらに今回は、ブドウの葉をモチーフにした2種の柄も展開。イタリア語でブドウ畑を意味する名の「ビーニャ」は、葉やツルを幾重にも重ねて絵画のように描いている。一方で、「クラータⅡ」はブドウの葉とセンリョウの実をパターン化し、文様と地色の色味を統一することでしっとりとした印象に仕上げた。「クラータⅡ」には、縦糸に金糸または銀糸を織り込んだ特別な柄もあり、空間をゴージャスに演出できる。

シルクかと思うほどに柔らかで軽いSHのファブリックだが、実は全てポリエステルで出来ている。そのため家庭での洗濯が可能で、湿気の多い日本の気候でも手入れがしやすい。これほど豊かな表現をかなえながら、メンテナンス性にも優れるファブリックは他にはないだろう。住まいの豊かさがこれまで以上に問われる今日、美しいファブリックで暮らしを彩ってみてほしい。

※『Nile’s NILE』2020年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。