職人技が生み出すタイムレスな家具

まるでアートピースのように凛とした存在感を放ち、そこにあるだけで空間の印象を左右する優美な家具。イタリアを代表する家具ブランド、ポルトローナ・フラウは、1912年の創業以来、最高峰の家具を生み出し続けている。上質なデザインにこだわりの素材と高度な職人技術を集結して生まれた家具は、タイムレスな魅力を放つ。

Text Asuka Kobata

まるでアートピースのように凛とした存在感を放ち、そこにあるだけで空間の印象を左右する優美な家具。イタリアを代表する家具ブランド、ポルトローナ・フラウは、1912年の創業以来、最高峰の家具を生み出し続けている。上質なデザインにこだわりの素材と高度な職人技術を集結して生まれた家具は、タイムレスな魅力を放つ。

ジャン・マリー・マソーによるデザインのソファ「ジョンジョン」を中心としたコーディネート
ジャン・マリー・マソーによるデザインのソファ「ジョンジョン」を中心としたコーディネート。中心に置いたオットマン「レプリ」は日本人デザイナーの大城健作によるもので女性のワンピースを模した柔らかいフォルムが印象的。伝統的なボタン留めの技術を取り入れている。

優れた職人技術を引き継ぐ老舗家具メーカーが数多く名を連ね、毎年、世界中から最新の家具デザインが集まるミラノサローネの開催国になっているイタリア。そんな同国を代表する最高峰の家具ブランドとも言えるのがポルトローナ・フラウだ。

1919年に発表されたチェアの100周年を記念して「2019」としてリデザイン
1919年に発表されたチェアの100周年を記念して「2019」としてリデザイン。背もたれのレザーにボタン留めを施して装飾的に張ることで、オブジェのような美しさを演出している。

1912年、イタリアの北西部に位置するトリノでスタートした同ブランドは、デザイン性の高い家具を職人の丁寧な手作業により製作。そのクオリティーの高さが国内外に知れ渡り、1926年にはイタリア王室御用達の指名を受けた。

レザー張りの脚が美しいテーブル「パリオ」を用いたダイニングのコーディネート。
レザー張りの脚が美しいテーブル「パリオ」を用いたダイニングのコーディネート。

100年以上の歴史を持つ同ブランドは、創業当時から変わることなく愛され続ける家具を集めた「ヒストリカルコレクション」を展開。

曲線が優美なダイニングチェア「モンテーラ」
曲線が優美なダイニングチェア「モンテーラ」は、現在、同ブランドの中心的なデザイナーであるロベルト・ラッツオーニがデザイン。ジャン・マリー・マソーによるラウンドソファ「スカーレット」を中心に、「1919」や背もたれのドレープが美しい「アーチボルト」をコーディネート。

なかでも、同ブランドのアイコンとなり世界中に知られているのが1930年発売のチェア「バニティフェア」だ。背もたれとアームのなめらかな曲線が印象的で、背面から見ても美しい仕上げが施されている。また「1919」はその名の通り1919年に発売されたウィングバックスタイルのチェア。100周年を迎える今年、現代仕様にリデザインされた製品が発売された。これらは時代の経過を感じさせないほどに洗練されたたたずまいで、現代の空間にも違和感なくなじむ、まさにタイムレスな家具と言える。

「. ペレ・フラウ」のカラーバリエーションは170種以上
新旧のモデルが一つの空間に違和感なくなじんでいる。「. ペレ・フラウ」のカラーバリエーションは170種以上。東京・青山の旗艦店ではその基本色である96色が壁一面に展示され、カラーパレットを見るように好みの色を選択できる。

一方で、最新のトレンドを取り入れた「モダンコレクション」も提案。

ジオ・ポンティやピエール・ルイジ・チェッリ、ジャン・マリー・マソーなど、旬のデザイナーとコラボレートして新たなデザインに挑戦している。伝統に敬意を払いながら生み出される新たな家具はどれも同ブランドらしさを損なわず、新旧のモデルが一緒にコーディネートされても自然と調和。そこには、時代を超えて共通するブランドの確かなアイデンティティーが感じられる。

そのアイデンティティーを裏付けているのが、家具職人の伝統的な手仕事技術だろう。今でもなお機械に頼ることなく、ハンドメイドで一点一点丁寧に製作。長い歴史の中でその技術やプロセスは洗練され、現在のデザインに生かされている。

カピトンネ
同ブランドの家具に欠かせないのが、代々継承されてきた優れた職人技だ。「カピトンネ」と呼ばれるボタン留めの技もその一つ。

さらに、最上質の素材にも創業当時からとことんこだわり、レザーはオリジナルで作り出した「ペレ・フラウ」を使用。1912年から開発を始め、試行錯誤の末にたどり着いたのが、希少価値の高い上質な子牛の革を20もの工程を経て加工する方法だ。上質なレザー本来の自然な柔らかさを備えて肌になじみ、温かみのある美しい表情を持つ。職人技によりこのレザーの最高の状態が引き出され、その魅力を維持して張り込 まれていくのだ。

そして、このペレ・フラウは170種以上ものカラーバリエーションを展開。繊細な色の表現を可能にすることで、自分だけの唯一無二の家具を生み出している。

2018年には東京・青山に日本初の旗艦店がオープン。彫刻のように美しいたたずまいや、ペレ・フラウの柔らかな質感を、実際に体感してみてはいかがだろうか。

●Poltrona Frau Tokyo Aoyama TEL03-3400-4321 

※『Nile’s NILE』2019年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。