優れた職人技術を引き継ぐ老舗家具メーカーが数多く名を連ね、毎年、世界中から最新の家具デザインが集まるミラノサローネの開催国になっているイタリア。そんな同国を代表する最高峰の家具ブランドとも言えるのがポルトローナ・フラウだ。
1912年、イタリアの北西部に位置するトリノでスタートした同ブランドは、デザイン性の高い家具を職人の丁寧な手作業により製作。そのクオリティーの高さが国内外に知れ渡り、1926年にはイタリア王室御用達の指名を受けた。
100年以上の歴史を持つ同ブランドは、創業当時から変わることなく愛され続ける家具を集めた「ヒストリカルコレクション」を展開。
なかでも、同ブランドのアイコンとなり世界中に知られているのが1930年発売のチェア「バニティフェア」だ。背もたれとアームのなめらかな曲線が印象的で、背面から見ても美しい仕上げが施されている。また「1919」はその名の通り1919年に発売されたウィングバックスタイルのチェア。100周年を迎える今年、現代仕様にリデザインされた製品が発売された。これらは時代の経過を感じさせないほどに洗練されたたたずまいで、現代の空間にも違和感なくなじむ、まさにタイムレスな家具と言える。
一方で、最新のトレンドを取り入れた「モダンコレクション」も提案。
ジオ・ポンティやピエール・ルイジ・チェッリ、ジャン・マリー・マソーなど、旬のデザイナーとコラボレートして新たなデザインに挑戦している。伝統に敬意を払いながら生み出される新たな家具はどれも同ブランドらしさを損なわず、新旧のモデルが一緒にコーディネートされても自然と調和。そこには、時代を超えて共通するブランドの確かなアイデンティティーが感じられる。
そのアイデンティティーを裏付けているのが、家具職人の伝統的な手仕事技術だろう。今でもなお機械に頼ることなく、ハンドメイドで一点一点丁寧に製作。長い歴史の中でその技術やプロセスは洗練され、現在のデザインに生かされている。
さらに、最上質の素材にも創業当時からとことんこだわり、レザーはオリジナルで作り出した「ペレ・フラウ」を使用。1912年から開発を始め、試行錯誤の末にたどり着いたのが、希少価値の高い上質な子牛の革を20もの工程を経て加工する方法だ。上質なレザー本来の自然な柔らかさを備えて肌になじみ、温かみのある美しい表情を持つ。職人技によりこのレザーの最高の状態が引き出され、その魅力を維持して張り込 まれていくのだ。
そして、このペレ・フラウは170種以上ものカラーバリエーションを展開。繊細な色の表現を可能にすることで、自分だけの唯一無二の家具を生み出している。
2018年には東京・青山に日本初の旗艦店がオープン。彫刻のように美しいたたずまいや、ペレ・フラウの柔らかな質感を、実際に体感してみてはいかがだろうか。
●Poltrona Frau Tokyo Aoyama TEL03-3400-4321
※『Nile’s NILE』2019年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています