断熱材を多用し、高断熱の開口部、熱を逃がさない換気システムなどを併用した建築手法で建てられる“パッシブハウス”。冬は太陽光、夏は自然の風を活用し、エアコンなどのエネルギーをほとんど使わずに快適さを満喫できるという。環境先進国ドイツのパッシブハウス研究所により1991年に確立された省エネ基準により認定された省エネ住宅のスタンダードで、西ヨーロッパを中心に普及が進んでいる。日本でも低炭素住宅やZEH(ネットゼロエネルギーハウス)はあるが、さらに上をいくのがこのパッシブハウス。人と環境に優しいのは言うまでもないが、ランニングコストも削減し、光熱費を大幅にカットできる。
実は住まいの中で最もエネルギーロスが多いのは窓。窓が大きく、数も多ければそれだけたくさんの光や風を取り込むことができるが、“開口部”であるためエネルギーロスが生じやすい。夏の冷房時に一般的なアルミサッシの窓から入る熱の割合は71%。逆に、冬の暖房時に48%もの熱が流出してしまうことからも、窓の性質が重要であることがわかる。
ドイツの窓システムメーカー「KÖMMERLING(コマリング)」は、PVC(樹脂製)サッシのリーディングカンパニー。輸入販売元の「日本レジデンス・コンポーネント」が取り扱い、日本の住まいに合った窓枠をカスタムメイドで提供している。
コマリングのPVCサッシは、独自技術により高い断熱性能を誇る。ドイツには窓に「断熱最低基準」があり、日本の基準とは差がある。断熱性能を表す熱貫流率で見ると、日本での最高性能が2・33以下であるのに対し、ドイツでは1・3以下(数値が低いほど高性能になる)でないと窓として取り付けることができない。パッシブハウスの基準は難なくクリアしている。天井から床までもある大きな窓を支えるケースメントには他にはない技術が詰まっている。大きな窓は、冬の日差しを効率よく取り入れることができ、それと同時に断熱性能が高いため、暖かくなった室内の熱の流出を防ぐ。
日本レジデンス・コンポーネントでは、コマリングの窓システムを輸入して、自社工場で組み立てるため、細かな要望にも応えることができ、日本各地の気候・風土に合った窓システムを提供している。窓枠の色は100種類以上を用意。強度・デザイン・ユーザビリティーにも優れ、パッシブハウスに欠かせない条件をそろえたプロダクトと言える。
この4月から「建築物省エネ法」が施行され、日本でも省エネ性能が厳しく問われる時代になった。そんな時の選択肢の一つがパッシブハウス。高い技術や品質が求められるため、贅沢(ぜいたく)な選択かもしれないが、それが住まいの価値を高めるのは確かである。マンションなど賃貸住宅にパッシブデザインを取り入れれば、光熱費が減るという点でも大きな魅力になるだろう。省エネ時代にフィットする窓システムは注目である。
※輸入販売元「日本レジデンス・コンポーネント」以外で販売されている、プロファイン社のPVCウインドー・建材(コマリング、トロカル、KBE)の製品につきましては、製品保証・性能保証含めメンテナンスについても対応しておりません。
※『Nile’s NILE』2017年7月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています