水平ラインを強調する深い軒が落ち着いた景観を作り上げる、三井ホームの「オークリー」。1999年に発売されたものだが、今も多くの人に愛されているロングセラー商品だ。街並みに調和するプレーリースタイルの外観はもちろん、天然木を多用したウッディースタイルのインテリアの中に普遍的な美しさが宿っている。趣味の部屋を夫婦それぞれが持ち、自分の時間を充実させる“大人が楽しむ家”をコンセプトに、和室やLDKなどをそれぞれ独立した形で配したプランを提案してきた。
オークリーの魅力そのままに現代のライフスタイルに合わせてリニューアルしたのが、この秋のニュースタイルコレクション「Essential Nature Style」。自然素材をふんだんに使い、自然そのものをリスペクト。自然との調和を大切にしてきた日本の伝統的な建築や意匠から“日本らしさ”を追求し、“日本の今を感じる”デザインに昇華させている。それは、純粋な和のイメージや、和洋折衷とは異なる表現で、例えるならアマン東京やアンダーズ東京といった外資系ホテルの中に息づく日本らしいディテール。自然素材を使ってくつろぎの深みへと誘う、洗練されたデザインだ。
リニューアルされたオークリーでまず目を引くのは木、石、ガラスといった様々な素材が使われていること。リビング・ダイニングの天井はレッドシダー材、床にはタイルを配し、重厚になりすぎないよう配慮しながら抜け感を演出。2階に続く階段周りには、滝をイメージしたガラスアートを施し、水の存在を感じられるデザインに。様々な空間構成の中に日本ならではのクラフツマンシップで自然素材を落とし込んでいる。
外観は4本の柱を立てて軒を深く出すことで軒下空間を創出。屋内と屋外をつなぐパッシブデザインとしての機能もあり、リビング・ダイニングに豊かな陽光を誘う。日本家屋が障子や簾(すだれ)によって、ゆるやかにつながっているのと同じように、家全体をひとつの空間に見立て、そこでどう過ごすかを提案。たとえば、ダイニングは食事をするだけでなく、子供が宿題をしたり、親しい友人とお茶を飲んでおしゃべりを楽しめる場所。リビングも家族が思い思いに過ごすことができるようガラスパーテイションでゆるやかに区切り、家族の息づかいや温もりがいつも身近に感じられる造りになっている。玄関からつながる土間スペースは靴を脱がずに入れるためパブリックスペースに最適だが、趣味の部屋など完全なプライベート空間にもできる。
こうした自由度の高いインテリアと間取りを可能にするのは、三井ホームの優れた技術から生まれる強さと居住性の高さがあるからだ。高断熱・高気密な空間と独自の健康空調システムにより、デザインを最大限に生かすことができる。2層吹き抜けの開放的な空間でゆるやかにつながりながら、暮らしのシーンに合わせて空間が自在になる住まい。そこかしこに宿るのは、日本独自のクラフツマンシップである。自然と人の心をつなぐ家が提案するニュースタイルだ。
※『Nile’s NILE』2016年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています