2025AWタイムピースの現在地
不朽の価値を選び、トレンドを遊ぶ

コロナ禍以降、時計業界の動向に大きな変化が押し寄せている。大規模展示会で新作を一気に発表するのではなく、各ブランドが最適なタイミングを図りながら、1年を通じて少しずつ新作を発表するようになったことも、その一つだ。この秋冬の新作から、今手にしたい時計やホットなトレンドを読み解く。

Text Yasushi Matsuami

コロナ禍以降、時計業界の動向に大きな変化が押し寄せている。大規模展示会で新作を一気に発表するのではなく、各ブランドが最適なタイミングを図りながら、1年を通じて少しずつ新作を発表するようになったことも、その一つだ。この秋冬の新作から、今手にしたい時計やホットなトレンドを読み解く。

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    PATEK PHILIPPE
    パテック フィリップ

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    ゴンドーロ・セラータ4962/200R
    2022年に発表されたゼブラモチーフのクロワゾネ七宝文字盤のゴールデン・エリプスを着想源に、新たにゼブラモチーフを両面への彫刻と塗装でメタライズド・サファイアクリスタル製文字盤に施した。ケースには94個のブリリアントカット・スペサルタイトを、コニャックからマンダリンまでのダブル・カラー・グラデーションによりセッティング。大胆にしてエレガントな一本。クオーツ、サイズ40.85×28.6mm、RGケース×カーフスキンストラップ、3気圧防水、6,580,000円。パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL03-3255-8109
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    VACHERON CONSTANTIN
    ヴァシュロン・コンスタンタン

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    グランド・レディ・キャラ エメラルド
    メゾンのハイジュエリーウォッチのDNAを受け継ぎ2024年に誕生した「グランド・レディ・キャラ」。パーツを付け替え、腕時計、ジュエリーピース、ブレスレット、ソートワールネックレスの4通りの装着方法が楽しめる。新たにエメラルド、ルビー、サファイアが登場し、写真はエメラルドのモデル。計39.4ctのダイヤモンドを敷き詰めた中に、計35.72ctのエメラルドが贅沢な輝きを放つ。クオーツ、サイズ30.1×19.4mm、プラチナ950ケース×プラチナ950ブレスレット、価格要問い合わせ。ヴァシュロン・コンスタンタン TEL0120-63-1755
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春にジュネーブで開催されたウォッチズ&ワンダーズ以降、スイスからはあまり景気のいい話は聞こえてこない。売り上げの落ち込み、39%ものトランプ関税……。しかし、スイス時計業界は数年置きに落ち込みと克服を繰り返しながら発展してきたという指摘もあるし、トランプ関税も15%へ引き下げる道筋が見えてきたとの報道も。スイス時計業界は再浮上の時をしたたかにうかがっている。

さて11月13日、時計業界のアカデミー賞とも言われるジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)2025が発表され、最高賞の「金の針賞」にブレゲ250周年記念第1弾モデル「クラシック スースクリプション2025」が輝いた。この選出は最近のハイエンドウォッチの一つの傾向を反映しているようにも思う。受賞作には美しいグラン・フーエナメル文字盤が採用されていたが、エナメルを始めとするメティエダール、サヴォワフェールなどと呼ばれる伝統的な匠の技を駆使した希少性の高いピースに注力するメゾンが最近目立つ。工芸性の高い仕事は、この先、価値が上がることこそあれ、下がるとは考えにくい。“不朽の価値”を求める向きにお薦めする所以である。

トレンド的な部分に目を転じると、気になるのは“紫”。夏頃から目立ち始めたパープルは、コンプリケーションから実用機まで、かなり広がりを見せている。今の気分を満喫したい愛好家ならぜひ押さえておきたい。

Métiers d’Art
メティエダール、サヴォワフェールなどと呼ばれる技法、具体的にはエナメル、細密画、ハンドエングレーブ、ジェムセッティング、マルケトリ(象嵌細工)、ギョーシェ装飾などへの注目度は高まっている。伝統性に加え、新技法の開発も進んでいる。

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    CHOPARD
    ショパール

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    L.U.C クアトロ スピリット“円相”
    カール-フリードリッヒ・ショイフレ ショパール共同社長の日本の伝統文化へのオマージュから誕生した限定エディションの中の一本。グラン・フーエナメルダイヤルに、禅思想に通じる“円相”モチーフがプラチナで施された。四つの香箱を備え最大8日間のパワーリザーブを持つ、ジャンピングアワー機構の自社製ムーブメントを搭載。ジュネーブシール取得。手巻き、ケース径40mm、エシカルWGケース×アリゲーターストラップ、5気圧防水、限定8本、9,350,000円。ショパール ジャパン プレス TEL03-5524-8922
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    LOUIS VUITTON
    ルイ・ヴィトン

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    エスカル・オ・ポンヌフ
    文字盤にはパリ最古の橋ポン・ヌフから望むルイ・ヴィトン本社周辺の情景を細密画、ハンドエングレーブ、エナメルなどの技法で表現。スライダーを操作すると、リピーターの作動と同時に、セーヌ川を行く船上のトランクが開き、モノグラム・フラワーが現れるなど七つのアニメーションが楽しめるオートマタを搭載。ベゼルには60個のバゲットカットのカラーストーンをセット。GPHG2025メカニカル・エクセプション部門ノミネート。手巻き、ケース径50mm、WGケース、3気圧防水、3,150,000CHF。ルイ・ヴィトン ジャパン TEL0120-00-1854
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    CARTIER
    カルティエ

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    「ロンド ルイ カルティエ」
    パンテール メティエダール ウォッチ

    開発に3年以上を費やした、レーザーで緻密にカットした金箔を重なり合うよう配置する技術を用い、ブラックからイエローへのグラデーションを描くラッカー加工のマザーオブパール文字盤上に、メゾンを象徴するパンテールがジャングルから姿を現す様を立体的に表現。ブラックラッカー仕上げのパンテールは金糸で強調され、目にはエメラルドをセット。手巻き、ケース径36mm、YGケース×アリゲーターストラップ、日常生活防水、14,784,000円(参考価格)。カルティエ カスタマー サービスセンター TEL0120-1847-00 Antoine Pividori@Cartier
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    ULYSSE NARDIN
    ユリス・ナルダン

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    フリークS レッドエナメル
    ムーブメント自体が分針も兼ねながら1時間で1回転するメゾンを代表するカルーセル機構の「フリーク」の最新モデル。20度傾斜した二つのシリコン製テンプを備えるなど革新的機構の一方、グループ傘下の高度なエナメル技法で知られるアトリエ、ドンツェ・カドランが手掛けたギヨシェ・フランケエナメルアワーディスクを採用。先進と伝統の融合が興味を引く。自動巻き、ケース径45mm、チタンケース×ラバー・バリスティックストラップ、3気圧防水、限定50本、26,752,000円。ソーウインド ジャパン TEL03-5211-1791
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    PIAGET
    ピアジェ

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    ピアジェ アンディ・ウォーホル ウォッチ「コラージュ」
    リミテッドエディション

    ピアジェ家4代目イヴ・ピアジェと親交を持ち、ピアジェの腕時計を愛用したアンディ・ウォーホル。その縁から昨年11月に締結されたアンディ・ウォーホル美術財団とのパートナーシップの下に発表された新作。ポラロイド・コラージュの自画像を着想源として、ブラックオニキスをベースに、イエローサーペンティン、ピンクオパール、グリーンクリソプレーズでマルケトリ装飾を施した文字盤を採用。自動巻き、ケース径45mm、YGケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、限定50本、12,320,000円(予価)。ピアジェ コンタクトセンター TEL0120-73-1874
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    VOUTILAINEN
    ヴティライネン

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    ヴァントゥイット28CG ローズゴールド
    フィンランド出身の時計師カリ・ヴティライネンによって2002年に設立以来、GPHG部門賞過去11回受賞。このモデルもGPHG2025レディース・ウォッチ部門ノミネート。ギョーシェ専門のアトリエ、ブロドベック・ギヨシャージュを買収・継承し、この分野へ一層注力を図っており、文字盤の各部位、ケースやリュウズに施された趣の異なるギョーシェ装飾は見事。動力伝達効率に優れた独自のダイレクトインパルス脱進機による自社製キャリバー28搭載。手巻き、ケース径37mm、RGケース×カーフストラップ、価格要問い合わせ。ザ・キャラット TEL03-3248-4350
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    BREGUET
    ブレゲ

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    クラシック7225
    創業250周年記念第7弾。19世紀初頭に製作された「ブレゲNo.1176」を着想源に、その意匠を踏まえ、2時位置にスモールセコンド、10時位置にはスライドボタン操作で帰零するスモールセコンドを搭載。磁気の作用でテンプの動きを安定させ、摩擦も低減するマグネット・ピボットを久々に採用し、毎秒20振動の超ハイビート、日差±1秒の高精度を実現。ケ・ド・ロルロージュ模様とフランケ模様のギョーシェ装飾も秀逸。手巻き、ケース径41mm、ブレゲゴールドケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、12,617,000円。ブレゲ TEL03-6254-7211
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    JAEGER-LECOULTRE
    ジャガー・ルクルト

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    レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179
    2023年に初製作された同モデルの新仕様。16秒と60秒で1回転する2軸のジャイロトゥールビヨンを搭載。メゾン内で3名の技術者しか習得していない高度なラッカー塗装技術による仕上げが見事。ムーブメントのプレートやブリッジにレーザーカットで200個のくぼみを作り、手作業でブラックとグレーのラッカー塗装の後に研磨仕上げを施して完成させている。手巻き、サイズ51.2×31mm、PGケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、限定10本、97,680,000円(参考価格)。ジャガー・ルクルト TEL0120-79-1833
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    DANIEL ROTH
    ダニエル・ロート

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    エクストラ プラット ローズゴールド
    ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンによってよみがえったダニエル・ロートの復活第2弾。1990年のオリジナルモデルのダブルエリプスフォルムとサイズを守りつつ、ケースデザインにやや手を加え、厚さ7.7mmに薄型化。文字盤のクル・ド・パリ装飾は一人の技術者が手作業で仕上げている。GPHG2025タイムオンリー部門グランプリ。手巻き、サイズ38.6×35.5mm、RGケース×カーフストラップ、3気圧防水、9,922,000円(参考価格)。アワーグラス銀座店 TEL03-5537-7888
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。