Grand Prix d’Horlogerie de Genève 2024

「時計界のアカデミー賞」とも言われる「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(略称GPHG)」。2024年度は15部門に各6モデル、計90モデルが最終ノミネートに残り、審査の過程で設けられた5部門を加え、全20部門の受賞作と総合グランプリの「金の針賞」が発表された。時計界のダイナミズムを伝える、この結果を速報する。

Text Yasushi Matsuami

「時計界のアカデミー賞」とも言われる「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(略称GPHG)」。2024年度は15部門に各6モデル、計90モデルが最終ノミネートに残り、審査の過程で設けられた5部門を加え、全20部門の受賞作と総合グランプリの「金の針賞」が発表された。時計界のダイナミズムを伝える、この結果を速報する。

  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Ladies’ Complication Watch Prize
    Van Cleef & Arpels
    Lady Arpels Brise d’Été

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    メゾンが掲げる「ポエトリーオブタイム」を表現したポエティック コンプリケーション。マザー オブ パール文字盤上にエナメル、ジェムセッティング、ミニアチュールペインティングなどのメティエダールを駆使して描き出された、夏の朝の庭園に咲き誇る花々が、8時位置のプッシャーを押すと風にそよぎ、チョウが舞い飛ぶ。そのあまりに自然で優雅な動きは驚嘆に値する。
    「レディ アーペル ブリーズ デテ ウォッチ」自動巻き、ケース径38㎜、WGケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、28,512,000円。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Calendar and Astronomy Watch Prize
    Laurent Ferrier
    Classic Moon Silver

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    2009年設立のローラン・フェリエが5度目の受賞。今春のウォッチズ&ワンダーズで発表され話題となったこの受賞作はアニュアルカレンダー、そしてメゾン初となるムーンフェイズを搭載。6時位置の小秒針に重ねて、ハンドペイントとハンドエングレーブを施したアベンチュリンガラスのサブダイヤルを配し、これを覆う半透明エナメル仕上げのカバーにより南北両半球の月相を示す。
    「クラシック・ムーン」手巻き、ケース径40㎜、RGケース×カーフストラップ、3気圧防水、14,960,000円。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Men’s Watch Prize
    Voutilainen
    KV20i Reversed

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    ミスターGPHGと呼びたいほどに受賞常連の独立時計師カリ・ヴティライネン。受賞作は、脱進機からアンクルを排し、二つのガンギ車を介して大型のテンプに直接動力伝達することで効率を高める独自のダイレクトインパルス脱進機を搭載した自社製キャリバーを反転させ、そのメカニズムをオープンダイヤルからつぶさに鑑賞できるようにした。コンポーネンツの仕上げもヴティライネンの面目躍如たるクオリティーだ。
    「KV20i リバース」手巻き、ケース径39㎜、PTケース×クロコダイルストラップ、3気圧防水、CHF134,900(参考価格)。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Tourbillon Watch Prize
    Daniel Roth
    Tourbillon Souscription

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    ルイ・ヴィトン傘下のウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」の下で復活を遂げたブランド、ダニエル・ロートの第一作となる手巻きトゥールビヨン。アイコニックなダブルエリプスケースを始め、1988年のブランド創立当時のデザインや雰囲気を踏襲しつつ、随所にアップデートが図られている。クル・ド・パリ装飾のYG製文字盤はヴティライネンの工房で仕上げられた。
    「トゥールビヨン スースクリプション」手巻き、ケースサイズ38.6×35.5㎜、YGケース×カーフストラップ、3気圧防水、CHF140,000(参考価格)。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Petite Aiguille” Watch Prize
    KUDOKE
    KUDOKE3 Salmon

    ―――
    独立時計師のステファン・クドケが、2007年にドイツ・フランクフルトで創業し、現在はドレスデンを拠点とするクドケ。3000~10000スイスフランのモデルを対象とするプチ・エギーユ部門の受賞は今回が2度目。三つの異なる長さの時針が、2~6時、6~10時、10~2時を代わる代わる差し示す。フロスト仕上げの文字盤表面がシンプルな洗練をもたらしている。
    「クドケ3 サーモン」手巻き、ケース径39㎜、SSケース×カーフストラップ、5気圧防水、1,980,000円。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Men’s Watch Nominated
    Hajime Asaoka
    Tsunami “Art Deco”

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    日本が世界に誇る独立時計師、浅岡肇。そのデビュー作である「トゥールビヨンNo.1」で用いられたアールデコスタイルの文字盤を、技術的にも審美的にも進化させ、彼の代表作の一つである「ツナミ」に採用し、6本のみが製作された。エングレーブとコールドエナメルにより仕上げられたセンターの縦ストライプを始め、手間ひまのかかる複雑なプロセスを経て完成したブルーグリーンが印象的なダイヤルは、見飽きぬ魅力を秘めている。
    「ツナミ“アールデコ”」手巻き、ケース径37㎜、SSケース×クロコダイルストラップ、3気圧防水、価格要問い合わせ。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Men’s Watch Nominated
    Grand Seiko
    Evolution 9 collection SLGW003

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    約50年ぶりとなる毎時36000振動のハイビート手巻きキャリバー、Cal.9SA4を開発。グランドセイコー独自のデュアルインパルス脱進機を搭載し、約80時間のパワーリザーブを備える。セキレイを模したコハゼというパーツにより、快適な巻き心地にもこだわった。文字盤には白樺の樹皮をモチーフとする型打ちパターンを刻み、品格あるドレッシーさを漂わせる。
    「エボリューション 9 コレクション 手巻きメカニカルハイビート36000 80 Hours」手巻き、ケース径38.6㎜、ブリリアントハードチタンケース×クロコダイルストラップ、日常生活用防水、1,529,000円。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024 Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
    Iconic Watch Nominated
    Breitling
    Navitimer B12 Chronograph 41 Cosmonaute

    ―――
    米国人宇宙飛行士スコット・カーペンターの依頼によって製作された24時間表示の「ナビタイマー コスモノート」は、1962年5月24日マーキュリー・アトラス7号で宇宙空間へ赴いた彼が装着し、「世界初の宇宙へ飛んだスイス製腕時計」となった。創業140周年を記念しブライトリングは現代的にアップデートした同モデルを250本限定で発表。
    「ナビタイマーB12 クロノグラフ 41 コスモノート」自動巻き、ケース径41㎜、RGケース×アリゲーターストラップ、3気圧防水、2,959,000円。※完売の可能性あり。
  • Grand Prix d'Horlogerie de Genève 2024
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。