近年、投資業界は現物資産へと舵を切っている。現物資産にはアートや時計、ワインなどがあるが、そんななか注目を集めているのがアンティークコインだ。日本にも以前から古銭というジャンルがあり、それなりの市場規模だが、アンティークコインの市場は世界規模であり、欧米からアジアまで各国の富裕層が参加。海外のオークションでは数百万円という落札価格もめずらしくない。
自らもアンティークコインのコレクターであり、投資家でもある葉山満氏は、その魅力をこう語る。
「現物資産は良好な状態で保存するのが重要なのですが、アートやワインはものすごく管理が大変です。しかしコインは保管するにも飾るにも場所を取らず、温度管理などの必要もありません。現存数が少ないため希少性が高く、値崩れする可能性は低い。コレクターは全世界にいるので、良いものを持っていれば、買い手に不自由することもないでしょう。
コレクターが多いのは、投資対象としての魅力以上に人々を引き付けるものがあるからです。この手で歴史に触れられるというロマンがある。何百年も前の人々の暮らしを彷彿とさせる。もうその国はなくなってしまったのに、コインは時を超えて、今、自分のものになっている。特に希少なコインだと美術館に同じものが展示されていることもあり、そうした貴重なコインを自分のものにするというよろこびは、なかなかほかのものでは味わえません」
しかし状態の良い本物のコインは入手が難しい面もあるという。