西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる

フランスと日本を代表する三つ星シェフであるアラン・デュカスさんと神田裕行さんは、長年、親交が厚い。そして、互いに日本料理とフランス料理の架け橋となってきた。その二人が豊洲市場の鮪のせりに行くと聞き、様子を追った。

Photo Masahiro Goda

フランスと日本を代表する三つ星シェフであるアラン・デュカスさんと神田裕行さんは、長年、親交が厚い。そして、互いに日本料理とフランス料理の架け橋となってきた。その二人が豊洲市場の鮪のせりに行くと聞き、様子を追った。

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    せり人(茶色い帽子)がせり落とされた鮪の価格などを確認。
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    やま幸がせり落とした一番鮪。脂が乗った北海道厚岸産だ。
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    「やま幸」の鮪を見ながら、話をするアラン・デュカスさんと神田裕行さん。デュカスさんは、神田さんを「日本料理とフランス料理の対話の主要人物」と語る。
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    せり落とした鮪を引き揚げてきた。荷台やターレーに乗せて、落とさないよう慎重に運ぶ。この日は、北海道厚岸産と戸井産の鮪。
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部位の味わいの違いをすしで食べ比べ

午前6時。せりから帰って来たデュカスさんと神田さんを待っていたのは、「鮨 さいとう」の齋藤孝司さんだ。鮪の部位ごとの味わいをすしで堪能。齋藤氏が仕込んだしゃりは、脂の乗った鮪を引き立てる絶妙な塩加減であった。デュカス氏は握りたての中トロを口に運び、顔をほころばせた。

最後に「やま幸」の山口氏は、鮪の見分け方について「経験と勘」と語った。多くの鮪に触れ、食べて経験を積んでも、鮪の味はさばいてみるまでわからない。だから「よさそうだと勘が働いた鮪は、10匹でも30匹でも買う。裏切られることも多いのだけど、だから鮪は面白いんだよね」と笑う。

豊洲市場の仲卸や職人の腕が連携することで、最高の鮪が提供される。この独自の市場構造こそが日本の食文化の一部である。

後日、デュカス氏は「神田氏の案内で得た豊洲市場の体験に感謝している」と述べた。

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    その色合い、身の質感が、最上級であることを醸し出す、切り分けられた部位。山口さんいわく「うちの鮪のスジに甘みや旨みが隠れている」。
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    鮪の解体は、まず頭やヒレを落とし、次に上部の背身(赤身、中トロ)を切り出す。鮪おろし包丁を何本か使って解体が進む。
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    お客さんに鮪を売る際、最後に切り分けるのは、社長の山口幸隆さん(中央)の役目だ。深紅の身に全身を使ってゆっくりと包丁を入れる。
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    「鮨さいとう」の齋藤孝司さん。まずは、さく取りした身から、一貫ずつに切りつけていく。
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。