部位の味わいの違いをすしで食べ比べ
午前6時。せりから帰って来たデュカスさんと神田さんを待っていたのは、「鮨 さいとう」の齋藤孝司さんだ。鮪の部位ごとの味わいをすしで堪能。齋藤氏が仕込んだしゃりは、脂の乗った鮪を引き立てる絶妙な塩加減であった。デュカス氏は握りたての中トロを口に運び、顔をほころばせた。
最後に「やま幸」の山口氏は、鮪の見分け方について「経験と勘」と語った。多くの鮪に触れ、食べて経験を積んでも、鮪の味はさばいてみるまでわからない。だから「よさそうだと勘が働いた鮪は、10匹でも30匹でも買う。裏切られることも多いのだけど、だから鮪は面白いんだよね」と笑う。
豊洲市場の仲卸や職人の腕が連携することで、最高の鮪が提供される。この独自の市場構造こそが日本の食文化の一部である。
後日、デュカス氏は「神田氏の案内で得た豊洲市場の体験に感謝している」と述べた。