オープンに際して駆けつけた世界統括料理長の坂上暁史氏は言う。「基本は銀座店と同じく最高級の季節のねたを取りそろえ、本格派の江戸前寿司を提供いたします。増えてきたとはいえ、まだまだ、本格的な江戸前寿司店が少ない京都にあっては貴重な存在といえるでしょう。マグロはそのクオリティーにかけては豊洲の中でもトップを誇る、「やま幸」から、他の魚も基本は豊洲、また北海道から直送するものもあれば、京都の中央市場から購入する、京都でなければ食べられない魚もあります。こうしたねたに、酢で締めたり、漬けにしたり、江戸前の仕事をほどこして、こだわりの赤酢を使ったしゃりと合わせて握ります」。米はあえてかなり固めに炊き上げるのだそうだ。固めにすることで、自然と咀嚼回数が増え、自ずと唾液の分泌量が増え、口内調理として寿司の味が完成するのだそうだ。なるほど、そこまで計算されているのかと、感心しきりだ。
そして、京都店での初の試みはコースに合わせたペアリングの楽しみである。ワイン、日本酒、ティーの3種があり、シャンパーニュや八海山の発泡の日本酒で始まるワインや日本酒のペアリングが素晴しいのはもちろん、ことさら特徴的なのはティーペアリングだ。シトラススパークリングティー、スモークドティー、水出しの玉露など、それぞれのねたに合わせて、最上のお茶が供される。アルコールが苦手な人でも一緒にペースを合わせて楽しめるのが何よりの魅力だ。食前には、積翠園に沿って立つ数寄屋造りの離れ、ティーハウスラウンジ「楓樹」でシャンパンをグラスでいただくのもいいし、食後に、ジャパニーズウィスキーを豊富に取りそろえたバーに寄るのも粋だ。フォーシーズンズホテル京都の宿泊の軸に「鮨 銀座おのでらフォーシーズンズホテル京都」を据え、都会の喧騒を離れて優雅な一日を過ごすのも、思い出に残る京都の過ごし方になるに違いない。
●フォーシーズンズホテル京都
京都市東山区妙法院前側町445-3
TEL 075-541-8288