刻が醸す、格別な世界観

時の流れという至極の価値を伝える熟成酒ブランド「八継HAKKEI」。50年熟成酒を始め、新たに発売になった「刻15 実楽」「刻17 伝承」が追加されて、シリーズ4種がオンライン限定で購入できることになった。

Photo   Text Hiroko Komatsu

時の流れという至極の価値を伝える熟成酒ブランド「八継HAKKEI」。50年熟成酒を始め、新たに発売になった「刻15 実楽」「刻17 伝承」が追加されて、シリーズ4種がオンライン限定で購入できることになった。

八継、刻が醸す、各別な世界観
「八継 刻50 本醸造」275,000円。送料無料・数量限定。

今でこそヴィンテージが珍重されてきた日本酒の世界であるが、日本一の酒どころとして知られる兵庫県神戸市灘区に蔵を構えて300年の歴史を持つ沢の鶴では、なんと、熟成酒という考え方がまったくなかった50年前から、時の醸造責任者が、常に低温管理された貯蔵庫の中で、1年ごとに変化を確かめ、大切に大切に酒を育ててきた。何代も醸造責任者が代わるなかで、30年が経つ頃までには、色付きが進んでいったが、それを超えてさらに熟成が進むと、不思議なことに澄み渡るクリアな黄金色へと変化していったのだそうだ。昨年、特別にリリースされたそれは、世界的にも名高い「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2024」でゴールドメダルを受賞している。

八継、刻が醸す、各別な世界観
「八継 刻15 実楽」33,000円。

そして2023年12月に発売された「刻15 実楽」。実楽(じつらく)とは兵庫県三木市吉川町にある集落の名前で、古くから山田錦の名産地として知られている。実楽の山田錦から造る日本酒は、甘味、酸味、うまみ、滋味、ミネラル感などのバランスに富んでいるのが特徴だ。特にその豊かさを生かすために、手間暇かかる昔ながらの生酛造りに挑戦している。生酛造りは「お酒の味わいが豊かになる」「味に深みや膨らみが出る」と言われるが、研究を重ねてたどり着いた「刻15 実楽」は、それだけでなく、後口のキレが驚くほど研ぎ澄まされ、酒の造り手はもちろん、地域の人々も「これなら」とうなずく一品にたどり着いた。貯蔵庫の中で15年間、静かに熟成を重ねてきた「刻15 実楽」は、まさに、風土の力と時間を掛け合わせたゆたかな実りで、楽しませてくれる。フランスで開催された日本酒コンテスト「Kura Master2024」の「2024年度古酒部門」では金賞、イタリア酒ソムリエ協会による酒品評会「ミラノ酒チャレンジ2024」の「2024年度デザイン部門」ではベストデザイン賞を受賞している。

八継、刻が醸す、格別な世界観
「八継 刻17 伝承」77,000円。

一方、2024年5月に発売になったばかりのシリーズ4本目の熟成酒「刻17 伝承」には、勇壮な雉の姿が描かれている。絵筆をとった、野生動物画家の岡田宗徳氏は、アメリカに本拠地を持つ、Society of Animal Artistsにおいて、日本人で三人目の正会員という希少な人物だ。彩り鮮やかな雉は「刻17 伝承」の高貴な味わいを存分に表現している。時を超えて伝承されていく人と自然の物語に想いを馳せながら、時間によって磨かれた「刻17 伝承」の味わいを合わせて堪能することができれば幸せこの上ない。

時間という無上の価値を伝える日本酒ブランド「八継」。50年の浪漫が味わえる「刻50 純米」「刻50 本醸造」、米のうまみと伝統の技術にうならせられる「刻15 実楽」。低温で熟成させ、余分な変化の少ない素直さを感じる淡熟タイプの大吟醸「刻17 伝承」。この夏4本を味わい比べてみるという、このうえない贅沢をぜひ楽しんでみたい。

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。