いつも変わらぬ“定番”を

2017年1月にオープンし、わずか10カ月でミシュラン東京の一つ星を獲得。笹川尚平氏が提供するのは、イタリアで長年愛されてきた、滋味豊かな郷土料理だ。変わらないように思えるその味は、実は食材や季節によって、微妙に、愛情深く変えられている。だからこそ何度でも食べたくなるのだ。

Photo Masahiro Goda Text Rie Nakajima

2017年1月にオープンし、わずか10カ月でミシュラン東京の一つ星を獲得。笹川尚平氏が提供するのは、イタリアで長年愛されてきた、滋味豊かな郷土料理だ。変わらないように思えるその味は、実は食材や季節によって、微妙に、愛情深く変えられている。だからこそ何度でも食べたくなるのだ。

ボッテガ。黒毛和牛のメイン料理
黒毛和牛の希少部位、シンシンをローストし、マルサラ酒がベースのソースを添えて、黒トリュフを散らしたメイン料理。柔らかな肉の旨みにソースのマスタードと黒コショウの辛みがアクセントとなり、食欲をそそる。

一つのものを探求して、掘り下げていきたい

トスカーナ州の郷土料理であるトリッパの白ワイン煮込みを、ギアラや小腸を加えてアレンジした「トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み」。

通常はトリッパを何度もゆでこぼしてから煮込むが、「ボッテガ」では新鮮な食材を使っているため、内臓はゆでこぼさず、ゆで汁を出汁としてそのまま使う。

そして、ふたを開けたままオーブンに入れ、熱で浮いてきた脂はアクとして取るのではなく、焼きながら煮込む。食材の旨みをすべて閉じ込めた「100%内臓です」と、笹川尚平氏は破顔する。

「夏は白ワインを増やしてさっぱり仕上げるなど、食材と季節に応じて日々調整します。そうすることで、常においしいと言ってもらえる“定番”にしています」

中国料理から転身し、25歳でイタリアへ。1年かけてピエモンテからカンパーニャ、トスカーナをめぐって修業した

「中国料理をしていた時から郷土料理を深掘りしたいという思いが強く、イタリアでも各地の文化を反映させた郷土料理に引かれました。煮込み料理もその一つですね」

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。