一意専心

西麻布の路地にたたずむ「壽修(じゅしゅう)」。佐賀県出身で、大阪の日本料理店で研鑽を積んだ先崎真朗氏が穏やかな笑顔で迎えてくれるカウンター主体の割烹だ。佐賀県産を始め全国の極上の食材を目利きし、それぞれの味を引き立てながらシンプルに調理する。その器から、料理という芸術の形が見えてくる。

Photo Masahiro Goda Text Rie Nakajima

西麻布の路地にたたずむ「壽修(じゅしゅう)」。佐賀県出身で、大阪の日本料理店で研鑽を積んだ先崎真朗氏が穏やかな笑顔で迎えてくれるカウンター主体の割烹だ。佐賀県産を始め全国の極上の食材を目利きし、それぞれの味を引き立てながらシンプルに調理する。その器から、料理という芸術の形が見えてくる。

作家さんの器で料理を提供しています

佐賀県の唐津出身で、唐津焼が身近にあったので自然と焼き物が好きになりましたね。若手の作家さんの作品もいろいろと見るようになって、つい先日も店で「日本料理を片瀬和宏の器で」というイベントを開催したばかり。

壽修。唐津焼の器

手前左が片瀬さん、右が伊藤剛俊さん、上が水上竜太さんの作品です。器を作ってもらう時には、基本的にサイズ感だけお伝えして、あとは料理のことは気にしなくていいから、ご自身の作風で作ってください、とお願いしています。

伊藤剛俊さんは海外でも個展を開くほど、人気のある作家さんで、私の料理と器のイベントを最初にやった作家さん。それ以降、料理のことを考えて器を作るようになった、とおっしゃっていました。実際に料理を盛ったところを見ることで作家さんもイメージが湧きやすいでしょうし、お客様にも器の使い方の参考になると思います。

広く浅く!? アートならどんなものでも好き

父親が美術の教員をしていたので、小さい頃からしょっちゅう美術館に連れて行かれました。

今でも、美術館やギャラリー巡りは好きですね。なかなか時間が取れなくなりましたが、仕事前に近くの根津美術館に立ち寄ったり、渋谷の「うつわ謙心」で器を見たりはよくしています。

日本画、西洋画はもちろん、仏教美術や現代美術も、何でも好きです。店のお手洗いにも、九州の小児科の先生が描いた絵を飾っています。

メジャーな作品より、知り合いのギャラリーや骨董市などにふらっと立ち寄って、気に入ったものを購入することが多いですね。

親族には美術関係の仕事をしている人もわりと多くて、店のマークにしている佐賀県の鳥、かささぎのイラストもグラフィックデザイナーをしているいとこに頼んで描いてもらいました。かささぎはカチカチと鳴くので、佐賀では「勝ちガラス」と呼ばれる縁起のいい鳥です。

都内の移動は自転車が便利

東京で仕事をするようになって以来、移動手段は専ら自転車です。別に自転車が好き、というわけではないのですが、電車のような混雑もないし、一番時間が読めて便利ですよね。

自宅と店の行き来だけでなく、豊洲市場に仕入れに行くのも自転車です。市場に行くのは週2回ですが、店から自転車だと行きは50分、帰りは1時間かかります。やっぱり酷使して乗りつぶしてしまうので、この自転車は東京に出てきてから4台目です。

壽修。移動に使う自転車

大きいロードバイクに乗っていたこともありますが、東京は坂が多いので、タイヤが小さいほうがラクですね。今乗っている自転車は、使いやすいように、タイヤを始め、ペダルやサドルもカスタマイズしています。

どうしても長距離を走るので、1年に1回のタイヤ交換は必須です。それでも乗りつぶしちゃうんですけどね。店の前には美観的に止めたくないので、持ち運んで地下の倉庫に入れられるこのサイズがちょうどいいです。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。