また「梅花の宴」と「緑風の香」は、新年号の典拠である万葉集にちなんで命名された「祝祭のカクテル」だ。前者は梅酒、クランベリー、シャンパーニュ、レモンジュースを合わせたもの。花の中心から外に向かって広がるピンクのグラデーションが美しい。後者はジン・タンカレーとライム、ピプノティック(トロピカルフルーツのリキュール)、シャンパーニュ、グレープフルーツジュースを合わせ、ブルーキュラソーを数滴垂らしたもの。このカクテルが表現する万葉から令和へと吹き抜ける“時代の風”の何と爽やかで香り高いことか。
さすが東京駅開業75周年記念に生まれた赤レンガ色のオリジナルカクテル「東京駅」を始め、時代を象徴する数々のカクテルを考案してきた杉本氏。令和を迎えてなお意気軒昂に、「オーク」のカウンターで「今、ここでしか味わえないおいしいカクテル」を作り続ける。
杉本壽 すぎもと・ひさし
1940年神奈川県生まれ。1958年東京ステーションホテルに入社、翌年、「バー」に配属。1964年にニューヨーク万博内「ワールドフェア」に参画。2000年同ホテルを定年退職後、運営会社の日本ホテルにエルダースタッフとして勤務。2006年ホテルの休館に伴い銀座千疋屋へ入社、フルーツバーを手がける。2008年ホテルメトロポリタン丸の内を経て、2012年東京ステーションホテルのマスターバーテンダーに就任。今も週4日、「オーク」のカウンターに立つ。
●東京ステーションホテル オーク
東京都千代田区丸の内1-9-1
TEL 03-5220-1261
www.tokyostationhotel.jp/restaurants/oak
※『Nile’s NILE』2019年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています