「生産者とのコミュニケーションに際しては、その人がどんな方法で食材を作っているかを、まず把握します。また、自らが作る食材を、自分自身でリスペクトしていることも重要です。加えて、私と対話してくれ、必要なら要望に応えてくれることも大事。もちろん、私の方も彼らの意見を聞き、要望にも応じます」
互いを尊重し合いながら双方が変わり、一つのまとまった世界を作り出す。そんなダイナミックな調和の中心に、ミル氏がいる。競争や強い主張で他を圧倒することによってではなく、ハーモニーの中でこそ、おのおのの個性が最大に力を発揮する。新しい時代のグランシェフは、このことを知っている。ミル氏は、まさにそうしたシェフの筆頭。一皿の料理の中でも、料理人としての生き方の中でも、「調和とは何か」を追求し、実践する。
Philippe Mille フィリップ・ミル
1974年フランス・ルマン生まれ。数々の伝統的名店でフランス料理の基礎を学び、「ル・ムーリス」などでキャリアを重ねる。2010年に「ル・クレイエール」総料理長に就任、2年でミシュラン二つ星を獲得。2011年にM.O.Fを受賞。2017年3月から自身の名を冠したレストランを東京に初出店。
●フィリップ・ミル 東京
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
TEL 03-5413-3282
www.hiramatsurestaurant.jp/philippe-mille
※『Nile’s NILE』2019年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています