ハーモニーは個性をつくる

シャンパーニュ地方、フランスの歴史あるシャトー「レ・クレイエール」で活躍するフィリップ・ミル氏は、平成の終わり2017年3月に自身の名を冠する「フィリップ・ミル 東京」をオープン。「令和」を迎えた今、来日した氏に、その名にちなんだ一皿を作ってもらった。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

シャンパーニュ地方、フランスの歴史あるシャトー「レ・クレイエール」で活躍するフィリップ・ミル氏は、平成の終わり2017年3月に自身の名を冠する「フィリップ・ミル 東京」をオープン。「令和」を迎えた今、来日した氏に、その名にちなんだ一皿を作ってもらった。

「生産者とのコミュニケーションに際しては、その人がどんな方法で食材を作っているかを、まず把握します。また、自らが作る食材を、自分自身でリスペクトしていることも重要です。加えて、私と対話してくれ、必要なら要望に応えてくれることも大事。もちろん、私の方も彼らの意見を聞き、要望にも応じます」

互いを尊重し合いながら双方が変わり、一つのまとまった世界を作り出す。そんなダイナミックな調和の中心に、ミル氏がいる。競争や強い主張で他を圧倒することによってではなく、ハーモニーの中でこそ、おのおのの個性が最大に力を発揮する。新しい時代のグランシェフは、このことを知っている。ミル氏は、まさにそうしたシェフの筆頭。一皿の料理の中でも、料理人としての生き方の中でも、「調和とは何か」を追求し、実践する。

フィリップ・ミル 東京 Philippe Mille氏

Philippe Mille フィリップ・ミル
1974年フランス・ルマン生まれ。数々の伝統的名店でフランス料理の基礎を学び、「ル・ムーリス」などでキャリアを重ねる。2010年に「ル・クレイエール」総料理長に就任、2年でミシュラン二つ星を獲得。2011年にM.O.Fを受賞。2017年3月から自身の名を冠したレストランを東京に初出店。

●フィリップ・ミル 東京
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
TEL 03-5413-3282
www.hiramatsurestaurant.jp/philippe-mille

※『Nile’s NILE』2019年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。