菊地美升さんに“地産地消”というテーマを投げかけてみた。
「都内で店をやっていますからね(笑)。自分には難しいです」。しかし「一つの土地への思いという意味では、私にも大好きで大切な場所があります。故郷の函館です」と話す。「年に2、3回は帰省して両親や地元の友だちと食べたり飲んだり。可能な限り生産者の方々も訪ねます」
菊地さんが「ル・ブルギニオン」を開業したのは23年前のこと。当初はフランス産の輸入食材を積極的に使っていた。「気持ちはフランス料理とフランスワイン一直線。お客様にフランスの食文化を楽しんでいただきたいと思っていました。この考えは今も変わりませんが、徐々に国産の素材、特に地元函館の素材に興味を持つようになったのです」
大きなきっかけは、15年ほど前に「北海道『食のサポーター』」の一員に任命されたこと。「活動を通し、強い信念と独自性を持つ生産者さんたちを知るようになりました」
菊地さんはこの縁を出発点に、故郷の函館を始めとする道南エリアで上質な素材を作る農家とのつながりを強めていった。「“王様しいたけ”の福田農園さんには早くからお世話になっています。厚沢部の板坂農園さんの雪下熟成じゃがいもも冬の定番。函館湾の魚介類も入れています」