「地産地消の本質は、健康にあると思います」と、川田智也さん。
「新鮮な食材に宿る優れた風味や生命力は人間にとって非常に有益。これを最大にいただくのが地産地消です」
そして、地産地消というと“身土不二”(人間の身体は暮らしている土地と一体)と “一物全体”(素材全体を食べる)の二つの言葉が頭に浮かぶという。
「土地の素材を無駄なく食べきる。それが健康にいい。地産地消と医食同源はつながっています」
また「地産地消には、物質的と精神的の二つがある」とも話す。
「物質的地産地消は、土地のものを食べる一般的な意味での地産地消」。では精神的地産地消とは?
「土地に根付く精神で調理し、食べるということです。たとえば自然を畏怖(いふ)する日本的精神にのっとれば、素材に極力手を加えないで持ち味を引き出す調理となり、その結果生まれた料理は日本人の口に合います。これが精神的地産地消です」
逆は、たとえば伝統的な中国料理では素材に手を加え、人の力で昇華させることを重視する。「それぞれ魅力的です。ただし私は、日本のお客様に素直においしいと感じていただけるのは、日本の精神的地産地消を実践する料理だと思っています」
その一方で「技術や叡智(えいち)は土地から離れて伝播(でんぱ)する」とも。「茶禅華の掲げる“和魂漢才”が意味するのは、中国料理の叡智と日本の精神の融和。中国料理でありつつ、日本の精神的地産地消を実践しています」