金沢産 加賀太きゅうり
鮎ときゅうりを合わせた一品は、冷や汁がヒント。冷や汁では焼いた鯵と冷たいだしを用いるが、ここでは繊細な旨みが魅力の鮎を使い、さらにスープをイタリア風に再構成。「イメージとしては、冷たいアクアパッツァ」と話すように、スープにはケイパーやオリーブオイルを効かせて一気にイタリア料理の世界に持っていく。かつ、きゅうりのすりおろしが入っているので清涼感も格別。鮎の内臓の苦みもまたきゅうりとよく合う。加賀太きゅうりの穏やかな苦みも加われば、暑さで疲れた体をじんわりと目覚めさせてくれる味わいとなる。
館林産きゅうり
一方、冷製カッペリーニは、ひやむぎからヒントを得て考えた。たっぷりと使うせん切りきゅうりはさっと湯通しして独特の青臭さを除き、同様に切って湯通しした新生姜の薄切りと和える。この新生姜がひやむぎでいうところの薬味の役割となる。ならば鶏のコンソメは、ひやむぎのつゆといったところか。その上質な旨みは、まさにリストランテの味。きゅうりや新生姜などのイタリア料理ではいわば「異端」の素材でも、コンソメと合わされば西洋料理にしっくりとおさまる。キャビアの塩気も、料理全体の格調を飛躍させる。