バルから生まれる新しい料理
シンプルな串刺しもエビを始めさまざまな食材が加わって次第に華やかになり、加えて分子料理などフェランの影響もあってエンターテインメント性が加味され、レストランで供されるような手の込んだ小皿料理は爆発的な人気となった。つまみの概念も越え串刺しの垣根も越えてしまったのだ。
カウンターにズラリと並んだピンチョスは実に壮観で、客が好みで選べるようなスタイルにしたのもサンセバスティアンのバルが発祥だ。バルに不慣れな観光客にとっても便利なシステムと言え、バルのハシゴを楽しくしている。
そう、バルの楽しみ方の神髄はハシゴにあり、サンセバスティアンの大きな観光要素でもある。1、2杯、1、2品で次のバルへというのが楽しみ方のコツで、混んでいる店ではピンチョス選びに時間はかけられない。カウンターに潜り込み、店員と目が合ったら素早く飲み物を注文し、その間にピンチョスを選ぶのがポイントである。その店の人気メニューをあらかじめチェックしておくことも大事で、まごまごしていると何も口にできないことにもなりかねない。
今日もまた、バルのカウンターには食欲をそそる新しい料理が並んでいるに違いない。ファン・マリ・アルサックは言う。「バルのピンチョスの進化が止まることはないだろう」