曽祖父の土地を譲り受けてワインを造り始めたとき、彼らはぶどう栽培の標高の限界とされる約1000mの地を畑に選んだ。なぜなら、極限状態で生き抜くことで、酸のしっかりした骨格のあるぶどうができるからだという。農薬や殺虫剤の不使用はもちろん、灌漑すらせず自然のままにぶどうを育てている。「自然が与えてくれる以上は求めないというのが私たちのポリシーです」と、カロリーナさんは言う。
すべてのワインがレセルヴァだが、グレードによって1本の木に6房から1房だけを残して摘果し、ぶどうの力を凝縮させる。手間暇かけて育てられたぶどうは手摘みされ天然酵母で発酵。そこから熟成の段階に入るわけだが、その工程はヴァルドゥエロがワインの芸術と言われるゆえんだ。複数種の樽を使ってワインにさまざまな経験をさせるのだ。その中でワインは成長し最高の熟成へとたどり着く。さらに瓶内で3~12年ねかせ、まろやかさを増す。
「若いワインは活力だけでなく角もあります。それを樽に入れて、酸素と接触させることで少しずつ丸くさせていきます。その後、瓶に詰めて酸素との接触を断ち、数年間ねかせます。完全な密封状態の中で長時間一緒にいることで、それぞれの分子は友だちになり、調和のとれた状態になります。こうして初めて至高の味わいが生まれるのです」