2022年「世界のベストレストラン50」、日本勢大躍進!

世界27の国と地域のジャーナリスト、フーディーズ、レストラン関係者など、世界で1080人の食のプロの投票によって世界のベストレストランを決める「The World’s 50 Best Restaurants awards 2022」が、発祥の地であるロンドンで開催。日本勢も大健闘した、そのアワードの様子をお伝えする。

Text Hiroko Komatsu

世界27の国と地域のジャーナリスト、フーディーズ、レストラン関係者など、世界で1080人の食のプロの投票によって世界のベストレストランを決める「The World’s 50 Best Restaurants awards 2022」が、発祥の地であるロンドンで開催。日本勢も大健闘した、そのアワードの様子をお伝えする。

全体の1/5を占める中南米勢

もう一方、がぜん強さを世界にイメージづけているのが、中南米勢だ。2位のセントラルは、それを牽引している店の代表格であるが、日系料理を標榜する「maido」も11位。常に10位前後をキープしているなど、その認知度の高さには驚かされる。

ペルーではほかに32位に「マイタ」が新ランクイン。ブラジルはサンパウロの「カーサ デ ポルコ」を7位と10位以内に送り込んだほか、リオデジャネイロから「オテーク」が47位の新店に入っている。ほかに、アルゼンチン14位「ドン フリオ」、チリ43位「ボラーゴ」、コロンビア「ボゴタ」48位と、計8店舗のランクインだ。

実は、メキシコは北米エリアに属するため、この中には数えられていない。5位に「プジョル」、9位に「キントル」と、10位以内に2店舗が入っていることにまず驚かされるが、メキシコを数えると、計10店舗、つまり、全体の1/5を中南米勢が占めることになる。

南米のガストロノミー化は、2013年に「ラテンアメリカベスト50」が創設されたことにより、急速に進み、ワールドベスト50との相互作用でより切磋琢磨されたと考えられる。この南米の特徴的な強さも、これもまた、ワールドベスト50の大きな特徴と言えるだろう。

それに加え、今回に関しては、コロナ禍の行動制限が厳しかったため、多くの評議員が自国に全票を投じたため、多くの店が引き上げられたと考えられる。

一方、メキシコは行動規制がゆるやかであったため、引き続き海外票が多かったのではないだろうか。来年、再来年、コロナ後のランキングがどのように変化していくのか、それもまた、楽しみだ。

食を通じた、よりよい社会や環境の実現

「The World’s 50 Best Restaurants awards 2022」アフターパーティー
「The World’s 50 Best Restaurants awards 2022」アフターパーティーの様子。

今年のランキングからは話がそれるが、昨年、25位と30位にランクインしていたロシアの「ホワイトラビット」と「ツインズ ガーデン」は、政治的背景から投票対象外となってしまった。

そうしたことを考えても、美食を祝うこのアワードは、平和が補償されて初めて成り立つ祭典であるとわかる。

毎年、「功労賞」と称して、料理界に貢献してきたシェフたちを表彰する個人アワードがあるが、今年はナイロビに生まれ、「Food for Education」の創設者である社会活動家Wawira Njiruが受賞した。

また、アワード前日のシェフズトークでは、この殺伐とした世の中で敢えてホスピタリティの大切さを語り、同時に、マイクロプラスチックや海洋資源など、環境問題に関しても多くの時間が割かれてた。

また、ベスト オブ ザ ベストの殿堂入りしたシェフたちには社会的に意義のある活動が求められており、それぞれ皆、その発信力やイニシアチブを通じて、食の世界に還元していきたいと考えているという。

食を通じて、よりよい社会や環境の実現、これもまた、ワールドベスト50の目指すところなのである。そうした視点で食のアカデミー賞とも言われる華やかなアワードのランキングを見てみると、また、違った側面が見えてくる。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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