1位は誰しもが納得の「ゲラニウム」
結果は、ラスムス・コフォードシェフ率いる「ゲラニウム」の勝利に終わり、「セントラル」が2位にランクアップした。
実は、コフォード氏は、料理界のオリンピックとも言われる技能選手権「ボキューズ・ドール」でも金賞を受賞した唯一のシェフであり、また、自国では三ッ星を有する、真の実力者。誰しもが納得の1位とのことだった。
コフォード氏をよく知る、浜田統之氏(星のや東京総料理長)にそのすごさを聞いてみると「機械のように緻密で精巧な技術を持ち、野菜使いや色彩感覚に特に秀でている」とのことだ。
昨年より、メニューからミートフリー宣言をしており、そうしたレストランが1位になることも、まさに、今の時代を感じさせる。
また、「セントラル」のマルチネス・ビルジリオ氏も、クスコにその文化を受け継ぐレストラン「ミル」を開店したり、アマゾンの生態系の研究をしたりと、社会貢献に熱心だ。7月には東京に初となる支店「MAZ(マス)」をオープンしたばかりで、日本人にとっても、さらなる高評価は嬉しい限りだ。
2年連続勝利を飾るデンマークの強さ
ところで、「noma」、「ゲラニウム」と2年連続のデンマークの勝利となったわけだが、2018年以降、同一国の連続優勝はない。この強さの源はいったい何なのであろうか。
10年間日本のチェアマンを務める中村孝則氏に意見を聞いた。
「なんといっても、nomaの存在が大きいのだと思います。北欧でしか食べられない、北欧料理の価値を作り上げ、それをブラッシュアップすることで、世界的なフーディを集めるにいたり、ゲストとレストラン双方で急速なガストロノミー化が進んでいきました。Nomaがおこしたニューノルディックの波にうまく皆が乗っていったのです」と。
実際、さらに18位に「アルケミスト」、38位に「ジョードナー」とニューレストランもランクインしてきている。25位のスエーデンの「フランツェン」まで入れて、北欧勢の4転の入賞は、2002年のワールドベスト50の創設時には、考えられないことであったろう。