ルイ13世は、コニャックがあらゆる蒸留酒のなかで特別な存在であることを認めた最初の国王であるという。現在では世界最大のコニャックメーカーの一つとして君臨するレミーマルタン家がコニャック地方に移住した17世紀前半、フランスを統治していたのがルイ13世だ。これにちなみ、国王へのオマージュとして、1874年に生まれたのがコニャックの至宝、ルイ13世である。
ルイ13世はコニャック地方でも最高峰と位置付けられるグランド・シャンパーニュ地区で栽培された葡ぶ ど萄うだけを用い、1200種を超えるオー・ド・ヴィー(原酒)をブレンドし、100年もの長い時を経て完成される。歴代のセラーマスターによる芸術的なブレンドにより、数百ものアロマが滑らかなハーモニーを創り出す、類いまれなコニャックの王だ。そのノウハウと哲学は現セラーマスターのバティスト・ロワゾーに受け継がれ、今も100年後という遠い未来を見越したコニャック造りが続けられている。そのコンセプトにちなみ、2015年にジョン・マルコヴィッチが主演、脚本を手掛け、100年後に自動開錠される金庫に収められた映画が制作されるなど、一流アーティストとのコラボレーションでも話題を集めている。
「ルイ13世に出会ったとき、あなたは生まれ変わります」と、セラーマスターたちは表現する。ジャスミン、ローズ、ヴァイオレットの柔らかなフローラルノートに始まり、イチジクや桃、パッションフルーツの甘美なアロマへと続く。そしてナツメグ、ジンジャーのスパイシーなトーンから、シガー、ユーカリ、サンダルウッドの重厚感のある香りへ。最後に、フランス・リムーザン産のオークを使ったルイ13世専用の大樽たる、ティエルソン樽がもたらす力強いフィニッシュ感が訪れてからも、1時間以上は長い余韻が楽しめる。
このルイ13世を味わうのにこの上なく最適な場所が、11月にANAインターコンチネンタルホテル東京のメインバー「ダビンチ」に誕生する「ザ・ルイ13世ルーム」だ。ルイ13世をイメージしたルイ・レッドでしつらえられた洗練された空間に、ルイ13世の歴史を語るアートを展示。入り口には、限定8名専用のルイ13世ボトルキープロッカーが設置され、デキャンタとオリジナルクリスタルグラスを美しく収めることができる。ルイ13世といえば1569年に起こったフランスの内戦、ジャルナックの戦いの戦場跡で発見された金属製のフラスクをモチーフに、11人のクリスタル職人がタイミングを合わせて創り上げるデキャンタの芸術性の高さでも知られている。まさにルイ13世を五感で楽しむために作られたエクスクルーシブな空間だ。
ナイルスナイルではこの「ザ・ルイ13世ルーム」のオープンを記念して、11月25日、同26日にルイ13世とシガーのマリアージュを体験していただく特別イベントを開催。ルイ13世と極上のシガーがもたらす時空を超えた至福のときを、ぜひ体感してもらいたい。
※『Nile’s NILE』2021年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています