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(左)木に着生しているノキシノブ。名は家の軒下でも耐え忍ぶことに由来。(中)照葉樹林の代表樹・タブノキ。この巨木は樹齢350~400年だという。(右)イチイガシとイスノキが上へ上へと一緒に大きくなり、約30mの高木に。
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(左)ボタンヅル。名は葉の様子がボタンに似ていて、つる性であることに由来。(中)岩に数種類ものコケ類が植生している。同じ種類のコケに見えるが実は違う。(右)その名の通り岩に生えているイワタバコ。美しいピンクの花を咲かせる。
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(左)つる性常緑のハスノハカズラは、秋にかわいらしい赤い実を付ける。(中)高さ30m、胸高幹周り3.72mのイチイガシ。樹齢350~400年の巨木だ。(右)南方系の常緑広葉樹のミサオノキ。名は常緑で操が固いことに由来。
極相の森に分け入る
いよいよクライマックス。極相の森に分け入った。樹齢数百年のイチイガシやタブノキ、コジイなどの巨木がうっそうと生い茂る森は、まるで原始の世界だ。道がなくても歩けること、爽やかなことが極相の森の特徴だという。光の量によって植物がすみ分けている様、岩を抱きながら、他の木をのみ込みながら成長する木々のたくましさ、イチイガシとイスノキが高さを競い合うように伸びる姿、林間を駆け抜ける鹿、雨で増水した渓流の水しぶき……さまざまな森の営みを目の当たりにし、何度驚嘆の声をあげたか分からない。
最後に、“トロッコ時代”の参道を通って、川中神社を参拝した。境内の樹齢100年以上のウメにクモランがついていた。鎮守の森は杉林と化していたが、自然林も残る。「巨木林の中にモミが点々と残っているのは、自然林の本当の姿」だそうだ。
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(左)綾の森から流れ出る水は美しくおいしい。しかし雨の後で川の水が濁っていた。(中)マメ科のミヤマトベラは常緑で矮性であることが珍しい。実はこれから黒く熟す。(右)木に着生するカタヒバ。ほかにマメヅタ、アオガネシダも木に。
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(左)約20年前まで森の中で暮らしていた夫婦が使っていた炭焼き窯の跡。(中)生存競争の激しい照葉樹林では、巨木が低木をのみ込んで共生することもある。(右)樹齢約100年の梅に着生するクモラン。人の目の高さにあるのは珍しい。
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(左)谷間にすだれ状の気根を垂らすウドカズラ。実は赤く色づき、熟すと黒くなる。(中)雨が降った後、キノコたちが一気に顔を出した。(右)落葉つる性のシマサルナシの実はキウイそのもの。宮崎県の沿岸部に多い。
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※『Nile’s NILE』2024年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています