大放浪者のロマン

高知・仁淀川町の生まれの酒場詩人、吉田類さん。少年時代は急峻な山に囲まれた渓谷を駆け回り、“仁淀川の河童”のごとく急流を泳ぎ回ったという。

Photo Masahiro Goda Text Junko Chiba

高知・仁淀川町の生まれの酒場詩人、吉田類さん。少年時代は急峻な山に囲まれた渓谷を駆け回り、“仁淀川の河童”のごとく急流を泳ぎ回ったという。

吉田類さん
「最近、中津渓谷の上流にうまいクラフトビールを造る工房ができたんだよ」と、その名も「2410(によど=仁淀)」ビールを片手に、うれしそうに語る類さん。副原料にしょうが・山椒を使い、ハーブや柑橘の香りがフレッシュな味わいだ。

吉田類さんは今、アトリエの眺めのいいテラスに、仁淀川(によどがわ)の自然を写した庭を計画中だ。緑色混じりの石を手に取り、「これ、数年前に仁淀川の河原で拾ったんです。きれいでしょ?五色の石があるんですよね」とニコリ。故郷愛にあふれるこの一言から〝仁淀話〞が始まった。

「中津渓谷に雨竜の滝というものすごい滝があってね、昔は橋がなく、大きな岩をよじ登り、身を乗り出すようにして滝壺をのぞき込んだものです。落ちたら二度と浮かび上がれないくらい危険な場所です。遊び場は少し下流の方。それでも流れは速いし、巨岩のつくる風景は不気味。そこで泳いだり、潜ったりしていると、滝に棲む竜のおなかに抱かれているような気分になったなあ」
 
雨竜の滝は落差20m。大量の水が轟音を立てながら巨大な石壁の間をすり抜けるように流れ落ちる。岩の姿から竜が水を吐き出す様を彷彿とさせ、遊び場のスケールをはるかに超える厳しい道場だと感じる。

後年、類さんは「北海道で〝幻の魚〞と呼ばれるイトウ、それも1m超の巨魚を釣る」など、〝釣り名人〞としても知られるようになるが、その才能も仁淀川に養われたという。「いつもアマゴが泳いでいるのを見ていたから、魚の習性や動きが分かる。魚に気づかれないよう、音を出さず、気配を消して近づくことができるんですよね」と胸を張る。

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ラグジュアリーとは何か?

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