北斎の『絵本和漢誉』では、源頼光に退治された鬼の頭領「酒呑童子」の不気味な生首が描かれている。
また、北斎の門人または孫弟子といわれる卍楼北鵞(まんじろうほくが)の新出の肉筆画「為朝と鬼ヶ島図」では、海の潮風に焼けた赤肌と、角のような二つのコブが特徴的な「鬼夜叉」を見ることができる。
そして、今回の見どころの一つである北斎の肉筆画「道成寺図」もこの章で展示。和歌山の寺院に伝わる伝説をもとにした能の演目『道成寺』の見せ場、鬼の面を着けて蛇に扮した女が柱に巻き付く「柱巻き」が描かれている。能そのものを描いた北斎の肉筆画は他に例がないためめずらしく、また本紙および周囲の掛軸表装修復後の初めての公開となり貴重な機会だ。
展示の最後を彩るのは、人々の暮らしと共に存在した「親しまれる鬼」の章。『北斎略画手ほどき』では、絵描き歌に詠み込んだ文字を使って江戸時代の人気キャラクター「鬼の寒念仏」を描く方法が解説されている。少し不満げな鬼の表情が親しみやすく、思わずくすりと笑ってしまいそうだ。
そのほか北斎による「鬼とお多福面」のひょうきんな表情も、何とも愛らしい。
特別展「北斎 百鬼見参」
会期 2022年6月21日(火)~8月28日(日)
前期6月21日(火)~7月24日(日)
後期7月26日(火)~8月28日(日)
開館時間 9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 月曜 ※7月18日(月・祝)開館、7月19日(火)閉館
会場 すみだ北斎美術館
東京都墨田区亀沢2-7-2
TEL03-6658-8936
https://hokusai-museum.jp/