「今」こそ、過去と決別し「未来世代」を育て始める時だ

時代を読む 第136回 原田武夫

時代を読む 第136回 原田武夫

「これは偶然だ」と思うことなかれ。今回の株価の暴落を通じて一番ダメージを食らったのは、「団塊ジュニアの世代」近辺であるはずだからだ。それより年齢が上の世代はいわば「逃げ切り世代」であり、資産にも余裕がある。他方でそれより若い世代はまだ働くことができるので何とでもなるのである。だが、もはや50代半ばとなりつつある「団塊ジュニア」たちには後がない。リスキリングだと言われても今さら、AI、それに文理融合人財になど転じることができるはずもないのだ。それなのに今回の株価暴落で「虎の子」を失ったというわけであり、もはや救いようもなくなっているのが実情だろう。

「このままだと我が国は近未来に存続すらしなくなってしまう」と正直、私は思っている。だからといって、もう「団塊ジュニア世代」以上を啓発し、動かすというのは時間切れだとも思うのである。今年(2025年)はその意味でも後がないのであって、ここからは明確に若い世代に対して「我が国のあるべき姿」を文理融合の観点から徹底して教育することに全身全霊を私自身は捧げていきたいと思っている。その銅鑼が、この世界同時株安であったと私は信じてやまない。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』2025年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。