
以前にもフーディーと呼ばれる人たちのことを書いたが、そのブームは急速に広がりつつあるようで、NHKのテレビ番組まで作られるようになり、ますます過激化している実態に、ただただ驚き、あきれるばかりだった。
番組冒頭で紹介されたのは、150万円ランチ。どんな料理が150万円なのかと思いきや、ランチそのものは3万6000円。それでも十分高額なのだが、三重県の離島にある鮨(すし)店まで、東京からのヘリコプター代を含めて150万円になるのだと言い、年間に70組ほどがこれを利用しているのだという。
なんと罰当たりな、と思った。SDGsという言葉が当たり前に使われ、無駄なエネルギーを消費しないよう、世界中の人々が知恵を出し合って努力しているのをあざ笑うような、身勝手極まりない行動には怒りさえ覚える。
番組の出演者たちはこれに羨望(せんぼう)のまなざしを送る。
自分たちがうまいものを食べるためには、どんな手段でも使うという人たちをフーディーと呼び、それをうらやみもてはやすのが公共放送のあり方なのだろうか。
ただただ食だけのために、海外を飛び回って年間800食を食べ歩くというフーディーを神格化し、それを美食家の極みとして紹介することに、どんな意味があるのだろうか。
あろうことか、これが地方再生の切り札だと賞賛するコメンテーターに至っては、開いた口がふさがらなかった。
最近はやりの、ガストロノミーツーリズムの専門家は、鄙ひなびた地方のレストランに、世界中の美食家が訪れることで、寂れていた村や町が活気を取り戻すのだとのたまう。
この論を信じてか、地方の自治体が最近やたらとフーディーを呼びこむことに執心し、インフルエンサーやフードコンサルを招いて、セミナーを開いたりしている。
それが事実なら歓迎すべき話だが、はたしてそううまくいくのだろうか。